イージーダンクをアシストした『背面投げパス』に歓声
現地4月13日、NBAの全30チームがレギュラーシーズン最終戦を行った。グリズリーズはホームでマーベリックスと対戦。この試合に勝てばシード順を上げられる可能性があったが、それでもプレーイン・トーナメントを戦うことに変わりはないため休養を優先し、ジャ・モラントやデズモンド・ベイン、ジャレン・ジャクソンJr.といった主力に加え、スコッティ・ピッペンJr.やザック・イディーの若手まで欠場させた。
そんな試合でラストチャンスを最大限に活用したのが河村勇輝だった。シーズン序盤の河村はプレータイムは短くてもコンスタントに試合に出ていたが、シーズンが進む中でいつしかGリーグが主戦場となり、1月は2試合、2月は3試合に出場したのみ。3月はグリズリーズでの出番がなかった。Gリーグのシーズンが終了した後、現地4月10日のティンバーウルブズ戦で1分出場したのが、実に2カ月ぶりのNBAでのプレーだった。
その河村が、主力不在のグリズリーズで輝きを放つ。ベンチスタートだったが第1クォーター残り7分42秒と早い時間帯にコートに送り出された。この時のグリズリーズは10-15とビハインドを背負っていたが、河村が入ってから流れが変わる。ペースを押し上げ、迷いのないプレーメークをして、チャンスが来れば躊躇なくシュートを放つ。2つのアシストを記録し、2本目の3ポイントシュートを決めた第1クォーター残り1分には37-24と、投入から27-9のランで劣勢をひっくり返した。
マブスも主力を休ませていたが、それ以上に河村への対策を打っていなかったことで、その活躍を止められなかった。そして、シーズンを通してそうだったように、メンフィスのファンも河村のキレのある動きと彼が作り出すハイテンポなバスケに大喜びし、歓声を送った。第2クォーター残り4分には、カイ・ジョーンズの懐に飛び込んでスティールに成功すると、間髪入れずにそのまま『背面投げ』で前を走るマービン・バグリー三世にパスを送る。
無理な体勢からのノールックパスであっても、場所も強さも完璧にコントロールされたボールはリングへと走るバグリー三世の手にピタリと収まり、イージーダンクのアシストとなった。グリズリーズのファンは立ち上がって大歓声を送り、この日一番アリーナが盛り上がった瞬間となった。
第1クォーターの逆転劇の後、残りの3つのクォーターもすべて上回ったグリズリーズが132-97で完勝を収めた。28分のプレータイムを得た河村は、12得点5リバウンド5アシストを記録。そのすべてがキャリアハイとなった。2ウェイ契約の選手はポストシーズンのロスターには登録できない。河村はルーキーシーズンの最後をキャリアハイづくめのパフォーマンスで終えた。
グリズリーズは48勝34敗で西カンファレンス8位が確定。プレーイン・トーナメントではウォリアーズと対戦する。