ジャマール・マレー

グリズリーズ相手の大接戦、最後は14-1のランで逆転

ジャマール・マレーが良好なコンディションで試合に出てさえいれば、マイケル・マローンの解任も、その是非の激論もないまま平穏にプレーオフを迎えられていたのかもしれない。現地4月11日のグリズリーズ戦、良いシード順位を守ってプレーオフを迎えるには負けられない一戦で、ナゲッツは大苦戦を強いられたものの最後はマレーのクラッチ力で逆転勝利を収めた。

グリズリーズもプレーオフに向けて勝利を必要としており、攻守のエネルギーでナゲッツを上回り、ほとんどの時間帯でリードを保っていた。ナゲッツは何とか食らい付くも、良いプレーが出ても単発に終わって流れを呼び込めない。ニコラ・ヨキッチにボールを託すだけでオフボールの動きに乏しいオフェンスが不発に終わると、相手の速い攻めへの対応が遅れる悪癖が出ていた。

しかし、この試合ではハムストリングのケガで2週間欠場していたマレーが復帰していた。まだプレータイムの制限があり、32分の出場で15得点5リバウンド7アシストとスタッツは伸びなかったが、同点で迎えた第4クォーター残り3分半でコートに戻ってからの短い時間で、特別な爆発力を発揮した。

ヨキッチとのツーメンゲームからステップバックのミドルジャンパーを沈め、続いてはヨキッチとのドリブルハンドオフから、ビハインドでボールを戻してヨキッチのフローターをアシスト。さらに再びヨキッチとのハンドオフから、ヨキッチを使うと見せかけてディフェンスを飛び込ませず、今度は自分でシュートを放って決めた。

マレーはクラッチタイムに圧倒的な存在感を見せたが、「シュートが決まったからツーメンゲームが良かったように見えるけど、試合に出た全員が良いプレーをした結果だ」と、チームで勝ったことを強調した。

「全員が良いエネルギーを持ち、この試合の重要性を理解してプレーしていた。前のキングス戦では、全員で団結してコミュニケーションを取りながら逆境を乗り越える、お手本のような戦いぶりだった。今日も同じような戦いぶりを見せられたと思う」

マローンに感謝「いつだって僕の味方だった」

指揮官交代について「まだ2試合だし、僕は1試合に出ただけだ。それに僕にはプレータイムの制限もあるから、あまり変化は感じない」とマレーは言い、10年間ナゲッツを指揮し、自分のNBAキャリアすべてで自分のコーチだったマローンへの称賛と感謝をこう語っている。

「コーチはいつだって僕の味方だった。このリーグに初めて来た時からずっと応援してくれた。だから僕も同じように彼を応援しているし、リスペクトしている。彼の存在を抜きにして今の僕はない。チームのために、お互いのためにプレーすることの大切さを説いていた。常に謙虚で、とても負けず嫌いな人だった」

グリズリーズとの大接戦を制した理由はヨキッチとマレーのツーメンゲーム復活だけでなく、ディフェンスにもあった。ナゲッツはヨキッチがどれだけ点を取っても、それをディフェンスの脆さが帳消しにしてしまう課題だったが、この試合では第4クォーターの失点がわずか14で、最後の6分間はフリースローによる1失点に食い止め、14-1のランと圧倒した。

ヨキッチとマレーの活躍で勝ち越した後、ボール・アリーナの観客たちは立ち上がって『ディフェンス!』と大声を張り上げた。選手たちはそれに背中を押されるかのようにアグレッシブな守備を展開。ジャ・モラントに攻め手を与えず、24秒バイオレーションを引き出した。この試合で最もファンを沸かせたのは、このチームディフェンスだった。

「アグレッシブに守ることができた」とマレーは満足気に語る。「フィジカルに守ったわけじゃないけど、ディフレクションを狙って手を伸ばし、ボックスアウトも徹底して、よりアグレッシブなディフェンスができたと思う」