「第3クォーターで何が起きたかを振り返る必要がある」

B1第29節、川崎ブレイブサンダースはファイティングイーグルス名古屋をホームに迎えた。第1戦では最大15点、第2戦は最大22点のリードを奪う展開に持ち込みながらも後半に失速して、痛い連敗となった。

特に第2戦の第1クォーター終了間際には、リードを17点に広げる鎌田裕也の3ポイントシュートが決まり、優勝したかのような大歓声がアリーナを包んで最高の雰囲気となった。しかし、後半が始まるとディフェンス強度の高まったFE名古屋を相手に川崎はターンオーバーを連発してしまい、空気が一変する。第3クォーターは3得点のみに留まり、みるみるうちにリードが溶けて逆転を許し、試合を落としてしまった。

川崎のロネン・ギンズブルグヘッドコーチはターンオーバーを敗因の一つとして挙げて試合を振り返った。「前半は5ターンオーバーでしたが、後半は13ターンオーバーで、そこから25失点してしまいました。前半はディフェンスもよくできていました。最終的に負けたので、相手の方が上だったということですが、自分たちの首を自ら絞めてしまった印象です」

インサイドで奮闘をしていたサッシャ・キリヤ・ジョーンズが前半で3つのファウルを犯し、後半をベンチで迎えたこともリズムを崩した要因だと話す。「サッシャのファウルトラブルがあったので、彼を後半のスタートにしませんでした。その結果、リバウンドで負けてしまったので彼をすぐに投入しました」

ジョーンズも同様に悔しさ交じりで試合を振り返る。「すごく良くなかったです。リードした展開から、どうバスケをするのかを覚えなければなりません。第3クォーターで何が起きたかをしっかりと振り返る必要があります。フラストレーションが溜まり、自分たちのミスがどんどん積み重なってしまいました」

1月のFE名古屋との対戦で、ジョーンズは22得点11リバウンド1アシスト2スティール3ブロックの大活躍でチームを勝利に導いた。この試合でも第1クォーターから、相性の良さを見せていたが結果的に敗戦。ジョーンズは、FE名古屋について「彼らはバランスの良いチームでした。リーディングスコアラーのアーロン・ヘンリーを筆頭に周りの選手にも得点を許してしまったので、そのあたりは差が出てしまいました」と話した。

「川崎は素晴らしいファミリーがいるチーム」

序盤からジョーンズは、先発起用だった米須玲音とのツーメンゲームでFE名古屋のディフェンスを翻弄し、2番手のガード小針幸也とも連携を図り、お互いのストロングポイントを強調できていた。ジョーンズは2人を次のように評価する。

「2人とも若くポテンシャルのある素晴らしい選手です。成長を見せてくれていて、どのようなペースでプレーし、どういう間合いを作るか、自分の特性をいつ出すのかを学んでいる最中だと思います」

ガードとビッグマンの連携はどのチームにおいても生命線だ。スクリーナーを担うジョーンズは自身のプレーがチームの底上げに繋がると認識している。この試合では18得点と平均を上回る活躍を見せたが、スクリーンはもちろんのことリバウンドやディフェンスでも、自分のマークマンだけなく、ドライブを仕掛けてくる相手選手に対して身体を張ってゴール下で奮闘しチームを支えた。チームファーストな姿勢を貫くジョーンズは、どのような思いを持って試合に臨んでいるのか。

「シーズンが進むにつれてチームでの自分の役割を理解してきました。毎試合、最大限に自分のプレーをすることにフォーカスしています。今日は自分のボックススコアは良かったですが、それ以上にもっとチームに貢献できることがありました」

川崎は14勝35敗で中地区最下位。Bリーグ開幕以降、最も厳しいシーズンを過ごしている。早い段階でチャンピオンシップの可能性はなくなってしまったが、ジョーンズは変わらず最後まで戦い抜く姿勢を貫く。

「Bリーグは上位から下位までの競争力が高く、どのチームが勝つのか分からない激しいリーグです。その中で格上相手にも勝たなければなりません。今日を教訓にしっかりファイトして、どんな状況でも集中力を切らさずにベストを尽くします」

「川崎が大好きです。本当に素晴らしいファミリーの皆さんがいるチームです。このような負け方をした後でも応援してくれるのは、私のプロキャリアでも経験したことがありません」

初めて日本でプレーし、戸惑うことも多かっただろう。しかし、序盤から比べると明らかにパフォーマンスは上がってきた。勝利を渇望する川崎ファミリーのために、ジョーンズは奮闘し続ける。