文・写真=丸山素行

インターナショナルスクールからの代表入り

U-19男子日本代表は7月にカイロ(エジプト)で行われる『U-19ワールドカップ』に向け、4日間の第1次強化合宿を実施した。

19歳以下ということもあり、まだ線が細い印象を受ける選手が多い中で、身長が高いだけでなく、身体の厚みも突出している選手がいた。それが203cm94kgのシェーファー・アヴィ幸樹だ。

全国大会での活躍が認められ、代表入りするというのが主流の中で、シェーファーはインターナショナルスクールから選出された異色の選手だ。クラブチームとの練習試合の中でヘッドコーチのトーステン・ロイブルの目に止まった。

「インターナショナルスクールのうまい選手たちを集めたクラブチームに僕も入っていて、U-16と試合をする機会があって、そこでコーチが掛け合ってくれて代表に呼ばれました」

代表入りのきっかけ以上に驚かされたのはバスケットボールを始めた経緯だ。シェーファーは小学校の頃からサッカー一筋、中学では全国大会に出場するクラブチームに在籍していた。だが高校に入り一念発起、バスケットボールを始めることに。当然だがサッカーをやめる決心に至るまでに相当悩んだという。

「セレクションのタイミングが合わなくて、サッカーのクラブチームに入れなくなったんです。友達とかお父さんとも話して、すごく迷いました。高校で1年間サッカーをやったんですけど満足いかなくて、これじゃ意味がないと思ったんです」

「学校がそこそこバスケが強かったので、遊びでやるのが楽しかったし、誘われたのでやってみようって思いました」と高いレベルでやりたいという向上心がバスケを始める背中を押した。

代表12枠の生き残りへ「残る自信はあります」

2メートル超えの選手が当たり前にいる世界と比べると、日本のインサイドはどうしても弱点になりうる。その中でシェーファーの存在は非常に大きく、本人も世界との戦いに意欲を見せる。「僕は身体も大きくなって身体能力が上がってきて、フィジカルでインサイドを埋める存在です。世界選手権ではみんな僕よりでかいし身体も強いので、そういう相手に簡単にやらせないという面でもっと身体の使い方を覚えていきたいですね」

身体能力は確かに高い。練習の合間のちょっとした時間で軽々とダンクシュートを連発する姿からもそれは明らか。ただ、基礎的なスキルの習得に苦労していると話す。「他の選手からしたらバスケ歴が浅いので、シュートの確率はそんなに高くないし、ドリブルの技術も全然ないです」

それでも自分の役割を理解し、背伸びせず『できることをやる』という姿勢は心地良い。「身長と身体能力で呼んでもらっているのは分かっています。点取り屋じゃなくて、ディフェンスで相手のセンターに何もやらせないとか、あとはスクリーンをしっかりかけてそこから合わせたり、オフェンスリバウンドやこぼれ球を決めるとか、そういうところを頑張りたいです」

代表にとって必要な選手であるということは容易に想像つくが、12枠に残る自信があるかと問うと「残る自信はありますけど、残ってからですよね」と笑顔で答え、すでにその先を見据えていた。

バスケを始めてからまだ3年半、発展途上な部分は多い。だがそれは伸びしろしかないことの裏返しだ。同年代のトッププレーヤーと切磋琢磨し、シェーファーは急速に成長を続ける。彼の成長の分だけ、日本代表も強くなっていく。