完璧なディフェンスと3本のダンクで勝利を引き寄せた
NBLにおいて、ホームチームは濃色ジャージーを着るのが通常だが、プレーオフセミファイナルのホーム開催を勝ち取ったリンク栃木ブレックスは、白星を祈願して来場者全員にホワイトTシャツをギブアウェイし、会場を白一色に染めた。
開始早々、5本のシュートを放った東芝ブレイブサンダース神奈川はそれらをすべて決め、長谷川技の3ポイントシュートで11-4と幸先良いスタートを切る。たまらずリンク栃木はタイムアウトを取り、「相手の集中力は高く、ベストパフォーマンスでぶつかってきている。もう一度、ディフェンスから集中して巻き返そう」とヘッドコーチのトーマス・ウィスマンが指示を出す。
その指示を忠実に遂行したリンク栃木がディフェンスを引き締め、リバウンドを奪ってイージーシュートを重ねて行き、第1ピリオドでゲームをひっくり返し、20-17とリードを奪った。
「第2ピリオドがすべてだった」と北卓也ヘッドコーチが言うとおり、6点しか取れなかった東芝神奈川はみるみる点差を広げられていく。ハードなディフェンスを継続するリンク栃木は、オフェンスでもアンドリュー・ネイミックが第2ピリオドだけで3本のダンクを見舞ってチームを勢い付かせ、40-23と17点のリードを奪う。
「ダンクやリバウンドでチームに勢い付けることができた。良いスクリーンをかけたところ、自分がダイブしてフリーになることができていた」と振り返るネイミックは、シーズン平均7.5点ながらもこの試合は前半だけで8得点を挙げた。
55点に抑えたディフェンスにこそ価値がある
思うように攻められない東芝神奈川のフラストレーションは溜まる一方だ。「得点が取れない時に慌ててしまった。オフェンスのよくないところがディフェンスにも影響してしまい、すべてが悪い方に行ってしまったのが敗因」
そう話す北ヘッドコーチも第3ピリオド残り4分、ファウルを取られなかったことに抗議してテクニカルファウルを取られる。フリースローを決められ、56-35とさらにリードを開かれる。冷静さを欠いたまま、修正できずに76-55でリンク栃木がホームコートアドバンテージを最大限活用して先勝。同時に、ファイナル進出へ王手を懸けた。
「今日のディフェンスはブレーオフを勝ち進むにふさわしいハードさを持っており、チャンピオンに相応しいディフェンスだった」
ウィスマンだけではなく、会見場に現れた両チームの誰もがリンク栃木のディフェンスを勝因に挙げていた。コートに立った全員得点での快勝であったにもかかわらず、である。76点を奪った以上に、55点に抑えたディフェンスにこそ価値があり、プレーオフらしいディフェンシブな戦いゆえに、選手がコートで転倒するシーンも多かった。
北ヘッドコーチが、「リンク栃木よりもエネルギーを出してプレーしなければ、この会場の雰囲気に勝つのは難しい。また明日、ファイト溢れるプレイを選手たちにしてもらえるように準備していきたい」と言わしめるほど、リンク栃木のホームコートアドバンテージは素晴らしく、6番目のプレーヤーとして存在感を示していた。
一方、王手を懸けたリンク栃木も、東芝神奈川の爆発力に警戒している。
ライアン・ロシターはこう語り、気を引き締める。「ファジーカスはリーグの中でもトップの選手。今日はチームとして素晴らしいディフェンスができ、アンドリュー(ネイミック)がしっかり抑えてくれたので、自分も休むことができた。今日のファジーカス選手は、いつもであれば決めてくるシュートをミスしていたので、明日は決めてくると思って再び集中して試合に臨みたい」
5月22日に行われる第2戦は、今日と同じくブレックスアリーナ宇都宮にて、15時よりティップオフ。
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