フリースローで微調整したシュートタッチ
先週末、アルバルク東京は仙台89ERSに連勝し、首位栃木ブレックスとのゲーム差を1つ縮めて3とした。東地区最下位に位置する、言わば格下相手との対戦だったが、初戦はロースコアゲームに持ち込まれての辛勝。第2戦も前日の流れを引きずり第1クォーターをリードされる展開となった。
その後の2分半、互いに得点が生まれない重い展開に。だが、松井啓十郎のスティールから流れが変わった。苦し紛れのリターンパスをカットし、そのまま走ってバスケット・カウントをねじ込んだビッグプレーだ。
そのプレーを松井はこう振り返る。「ダブルチームに行ってパスが来るだろうと予測していたので、タイミングが合ってレイアップにいけました。チームのアグレッシブさがあったから自分もアグレッシブに行こうという動きになりました」
得意の3ポイントシュートではない『3ポイントプレー』で逆転し、ここからA東京はリズムをつかんだ。手こずっていた仙台のゾーンディフェンスも、松井が3ポイントシュートを連続で沈めることで攻略した。
「個人としていいプレーをしたら気持ちが乗るので。その後の(田中)大貴からのコーナーのパスでシュートが入り、気持ち良くやれた」と、バスケット・カウントが好パフォーマンスを呼ぶトリガーになったと明かした。その好調さもあって松井は唯一第2クォーターをフル出場し9得点を挙げた。
シューターは1本目のシュートが入ると調子が出るというが、松井は第1クォーターで1本目をミスしている。それでも、あのバスケット・カウントで得たボーナススローで微調整ができたと語った。「1本目、強いなと思って結構オーバーで外したんですよ。でもレイアップがあって、フリースローでタッチを確認できたので、それで綺麗に決めることができ、うまくアジャストできました」
今週末の千葉戦は「チャレンジャーくらいの気持ちで」
A東京は次節、東地区3強の一角である千葉ジェッツとの大一番を迎える。この試合がチャンピオンシップ出場の順位を決める上で重要な意味を持つことは言うまでもない。A東京は千葉に対し3勝1敗と勝ち越しているが、松井に慢心は見られない。
「バランスが良くて得点力がある。今、僕たちは2位ですけど、チャレンジャーくらいの気持ちで、前の4試合は忘れて新しい気持ちで迎えないとダメだと思います」
千葉はリーグ最多となる1試合平均9.5本の3ポイントシュートを沈めている。そんなアウトサイドシュートが得意な千葉に対して、「富樫(勇樹)のピック&ロールが起点になると思うので、チームで守って外角を気持ち良く打たせないこと」がポイントになると話した。
「のせてしまうと厄介、オープンなシュートを外していては千葉には勝てない」と松井は言う。
もしシュートの調子が悪くても打ち続けるべきと持論を述べる。「良いシュートは自信を持って打つべきだと思う。そこで打たないと逆に悪くなってしまう。言うのは簡単ですけどやるのは難しいんですけどね」
両者が交じわるのは、奇しくも計11人の退場者を出したあの『乱闘劇』があった昨年10月30日以来となるが「乱闘することも、ラインに入ることもないと思うんですけど」と松井は苦笑いする。
高いオフェンス力を持つ両チームの戦いは『乱闘』はなくとも、3ポイントシュートが飛び交う、『乱打戦』にはなりそうだ。そしてコートには、勝利を引き寄せるためにシュートを打ち続ける松井の姿があることだろう。
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