ネパウエのインサイドを起点に先手を取った仙台だが……
東地区2位のアルバルク東京と厳しい戦いが続く仙台89ERSの対戦。前日の対戦では信条とする強固なディフェンスからロースコアゲームに持ち込み、あと一歩のところまでA東京を追い詰めた仙台だったが、第2戦ではタイトなディフェンスの前に終盤に持ちこたえることができず連敗となった。
序盤は仙台がペースを握る。チリジ・ネパウエにボールを集め、インサイドで効率良く得点していく。ダブルチームでネパウエにマークが集まると、今度は無理せずパスをさばき、ズレを作ってオフェンスにリズムを生む。守備でもゾーンディフェンスでA東京の出鼻をくじいた。
トランジションから数的優位を作り、佐藤文哉の3ポイントシュートで18-12とリードし、A東京にタイムアウトを取らせた。
だが2点リードで迎えた第2クォーターの立ち上がり、ボールプレッシャーを強めたA東京に逆転を許す。ダブルチームでプレッシャーを受け、苦し紛れのリターンパスを奪った松井啓十郎にそのまま走られ、3点プレーとなるバスケット・カウントを許した。
その後は素早いパス回しからズレを作られ、松井に2本の3ポイントシュートを許しゾーンを攻略されてしまう。A東京が勢いに乗った場面でもインサイドで踏ん張るネパウエを筆頭にもちこたえ、ロースコアの展開を保ったまま27-35で前半を終える。
A東京は最後まで集中力を切らさず試合巧者ぶりを発揮
ただ、耐えることはできても押し返すことができない。後半も仙台はディナイ気味のタイトなディフェンスの前に活路が見いだせず、ボールを運ぶのにも一苦労でシュートを打つまでに時間がかかってしまう。ショットクロックを気にしながらのシュートでは成功率が上がるはずもなく、A東京の術中にはまっていった。
身長のミスマッチを補うためのゾーンディフェンスも、ディアンテ・ギャレットや田中大貴のペネトレイトによって崩されてしまう。柳川龍之介、片岡大晴が連続で3ポイントシュートを沈め10点前後の差で耐えしのいだ。
だが、時間が進むにつれて追い付こうと焦りが出てしまい、早いテンポで3ポイントシュートを狙ってしまうなど、オフェンスの型が崩れ始める。徐々にシュートセレクションの差が表れ15点のビハインドを背負い最終クォーターを迎えた。
今日のA東京は盤石の出来。第4クォーター開始1分のところで田中の3ポイントシュートが決まりリードを20点に広げると、その後も試合をコントロール。仙台は志村雄彦が流れの中から7得点を奪い意地を見せるも、A東京を慌てさせるには至らず。終始安定したプレーを見せたA東京が勝利を収めた。
我慢ができずロースコアゲームに持ち込めなかった仙台
A東京の伊藤拓摩ヘッドコーチは「シュートが入らなかった時間もあったが、それに影響されることなく、40分間プレッシャーをかけるディフェンスができたので最終的にこういう展開になった」と勝因を語った。
一方の間橋健生ヘッドコーチは「やるべきことを忘れてしまった試合でした」とコメント。「ビハインドを背負って、早く追いつきたいと焦り我慢ができなかった。インサイドを起点に慌てずロースコアに持っていこうとしたが、ディフェンスで頑張って追い付くのではなく、オフェンスでなんとかしようとしてしまった」とチームコンセプトを徹底できなかったことを悔やんだ。
ゲームハイの23得点を挙げたネパウエは「インサイドは自分にアドバンテージがあると思っていた。チームメートがしっかり自分を見てボールを回してくれた」と活躍を振り返るも「A東京のアグレッシブなディフェンスの前にシュートを決めきることができなかった」と連敗しているだけに満足とはいかなかった。
レギュラーシーズンも残り10試合を切り、一つの勝敗が順位の変動をもたらす大事な局面を迎えている。次節、A東京は千葉ジェッツと、仙台は秋田ノーザンハピネッツとの対戦を控え、それぞれレギュラーシーズンの先を見据えた大事な試合が待ち受ける。
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