ステフィン・カリー

「プレーを楽しみ、自分の自信にしていくんだ」

「ステフは『意義のある戦い』とずっと言ってきた。私は雄弁で謙虚なその言葉が大好きだ。我々は今、『意義のある戦い』をやっている。それが彼の愛するものだ。彼はシューターとして評価されているが、競争心は過小評価されている。チームがハイレベルな戦いに戻ってきたことで、彼は勢い付いている」

これは、現地2月27日にウォリアーズがマジックを121-115で破った試合後のスティーブ・カーの言葉だ。この試合でステフィン・カリーは3ポイントシュート19本中12本成功を含む56得点を記録。最大17点のビハインドをひっくり返し、終盤のマジックの猛追も振り切る会心の試合運びを演出した。

第1クォーターは3本のシュートしか放たず5得点だったカリーは、第2クォーターに16得点を挙げ、前半残り1.5秒のポゼッションで自陣の3ポイントラインからの超ロングショットを沈め、気分良く後半を迎えた。まだ14点のビハインドはあったが、後半開始5分半で22-7のランで逆転。カリーは第3クォーターに22得点と尻上がりに調子を上げ、一気に試合をひっくり返した。

第4クォーターは13得点だったが、それでもその多くは猛追するマジックの勢いをへし折るクラッチタイムの重要な得点だった。終盤はジミー・バトラーが「必要であれば自分も得点できる」という気配こそ見せるものの、ウォリアーズのほぼすべての攻撃はカリーに託された。それだけカリーは絶好調で、止めようがなかった。

どこから打っても、どんな体勢で打ってもシュートを決められる自信のようなものがカリーからは感じられた。「オフでもシーズン中でも試合前でも、僕はありとあらゆるシュートを試している。それは自分の創造性を自由に発揮できる時間だ。あまり長くやるものじゃないけど、ウォーミングアップの時点で良いシュートが打てるという根拠のない自信を持てることがあって、そうなったら流れを止めないようにする。プレーを楽しみ、コートのどこからでもシュートが決まるのを見届けて、自分の自信にしていくんだ」

そしてカリーは楽しむことの意義をこう強調する。「レギュラーシーズンは82試合あって、毎日練習がある。楽しまなきゃいけない。みんながそうするわけじゃないけど、僕にとっては大切なことだ。ずっと練習ばかりだと単調になってしまう。楽しむことを思い出すためにウォーミングアップでいろいろ試すんだ」

どんなシュートも魔法のようにリングに吸い込まれる日がしばしば訪れる。だがそれは、彼に言わせれば完璧な準備を整えているからこそ起こることだ。「ドリブル、ピンダウン、リロケーションなど様々な方法からシュートを打つ。どんな状況でも自信を持って打てるだけのフットワークを身に着けて、『その時』に備えるんだ。大事なのは楽しむことと笑顔だ」

マジックの指揮官ジャマール・モズリーは「またしても最高のカリーにやられてしまった。第3クォーターの映像を見返す時間は長くなるだろうな」とボヤいたが、NBAを代表する選手が最高のプレーを見せ、オーランドのファンがそれに大歓声を送ったことを受け入れ、歓迎してさえもいた。

ジミー・バトラーはうれしそうにこうコメントした。「カリーをディフェンスしている選手の表情に敗北と嫌悪感が表れていた。できることは何もない。気持ちは分かるよ」