マーク・ウィリアムズ

メディカルチェックで不合格、トレードが取り消される

トレードデッドライン直前の現地2月5日、レイカーズはアンソニー・デイビス放出に伴うビッグマン不足を解消するために、ホーネッツからマーク・ウィリアムズを獲得した。ダルトン・コネクトとキャム・レディッシュ、最後に残った2031年の1巡目指名権を譲渡するのがその条件だった。

しかし、トレードデッドライン後に、このトレードは破談となった。ウィリアムズがメディカルチェックで不合格になったのがその理由だ。ウィリアムズはサイズと運動能力を兼ね備えたセンターだがケガが多く、1年目は43試合、2年目は19試合にしか出場していない。3年目の今シーズンは、2年目を棒に振った足のケガにより出遅れたが、現地12月3日に復帰してからは2日連続で試合が組まれた時に休養を挟む以外はずっとプレーしていた。

メディカルチェックの詳細は明かされないが、いずれにせよこのトレードは成立から48時間後に破談となった。ホーネッツは「ウィリアムズの健康状態に問題はなく、これは不当な判断だ」と抗議したが、それ以上は事を荒立てることなく、コネクトとレディッシュを送り返し、ウィリアムズの復帰を受け入れた。

ウィリアムズはロサンゼルスに行き、レイカーズの一員にはなれないことを知った。「最初はエージェントからトレードが不成立になったとだけ聞かされて、その時はメディカルチェックが原因だとは思わなかった。かなりの時間をプレーしていたから、そんなことになるとは想像もできなかった」とウィリアムズは語る。

「クレイジーだったよ。ロスに行く、やっぱり行かない。自分に与えられたチャンスを生かすつもりだけど、今回は興奮と失望の間でただただ振り回されて、僕にできることは何もなかった」

ホーネッツの指揮官チャールズ・リーは「マークは1年目のサマーリーグからこのチームで素晴らしい人間関係を築いている。みんな彼の人間性や性格、もちろんプレーも理解しているから、戻って来ても何の問題もない。我々は彼を歓迎するよ」と語っている。ただ、影響は少なからず残る。ウィリアムズは引き続き戦力として使えるとしても、彼を放出した前提でユスフ・ヌルキッチを獲得し、ムサ・ディアバテを2ウェイ契約から正式契約に切り替えており、これらはウィリアムズのトレードが破談になっても変えられない。

『ケガの多い選手』のイメージから脱却できるか?

オールスターブレイク明け、ホーネッツとレイカーズが対戦した。ウィリアムズはホーネッツの先発センターとして29分のプレーで10得点9リバウンドを記録し、メディカルチェックに不合格となる理由がないことをコート上で示した。そしてチームは100-97でレイカーズを撃破。マイルズ・ブリッジズは「マークに起きたことを考えると、ここでレイカーズに絶対勝ちたかった。そして勝った」と、このトレードの顛末が彼らの闘志を奮い立たせたと語る。

そして、彼のエージェントは「複数の著名なドクターに確認してもらったが、マークはプレーできる状態にあったという結論だ。レイカーズでプレーする機会が与えられるべきだった」との声明を発表した。もともとケガの多かったウィリアムズは、レイカーズのメディカルチェックに落ちたことで『ケガの多い選手』という不名誉な形で有名になった。エージェントはそれが風評被害だとアピールする必要があった。

結局のところ、『ケガの多い選手』のイメージは声明を発表しても消えず、彼自身がコート上で良いプレーを継続していくしかない。レイカーズの移籍騒動で彼が得たのは、これまでにない注目度だ。レイカーズの判断が間違いだったことを、彼はこれからコートで証明していく必要がある。

「自分が置かれた状況は理解しているつもりだ」とウィリアムズは言う。「僕らにとって大事なのは、このシーズンを良い形で終えること。良いプレーをして、コート上で正しいと思えることをたくさんやるつもりだ。騒動はもう終わった。ここからはプレーに集中して前に進んでいくよ」