勝てないホーネッツで驚異的なレーティングを叩き出す
2ウェイ契約の選手でありながらホーネッツで6番目に長いプレータイムを得て、4.7得点、7.0リバウンドを記録していたムサ・ディアバテが本契約を手に入れました。今シーズンのディアバテの活躍は、ホーネッツの未来を大きく変えたとも言える偉大なものになっています。
開幕当初のホーネッツのプランは、マーク・ウィリアムズとニック・リチャーズという2人の7フッターでゴール下の強さを押し出す形でした。バックスとセルティックスでアシスタントコーチを務めていたチャールズ・リーを新ヘッドコーチを迎えたこともあり、ラメロ・ボールとブランドン・ミラーの両エースを中心に3ポイントシュートを多投するスタイルとともに、アウトサイドとインサイドのバランスを探りました。
そのため206cm95kgとセンターにしてはサイズがなく、かといってシュート力があるわけではないパワーフォワードであるディアバテがプレータイムを得るのは難しかったはずですが、開幕早々にグラント・ウィリアムズがシーズンアウトとなったのをはじめ、ビッグマンが次々にケガに見舞われるチーム事情がディアバテにとってはチャンスになりました。そして彼のポテンシャルが、チームの新たなスタイルにガッチリとハマったのです。
3ポイントシュートを多投すれば、必然的に増えるのがロングリバウンドです。高さはなくとも抜群の反応力を持つディアバテは次々にオフェンスリバウンドを回収していきます。ディアバテ自身の得点は少なくても、チームメートのミスをカバーし、セカンドチャンスを生み出すことでオフェンスに貢献しています。
ディフェンスでもゴール下でのヘルプだけでなく、アウトサイドまでプレッシャーをかけられるフットワークが効いています。リムプロテクターとしての能力は本職のセンターには劣っても、ディアバテがコートにいれば相手は3ポイントシュートが打ちづらく、ターンオーバーが増え、ホーネッツのディフェンスは強力に機能します。
勝率が3割に届かないホーネッツでは主力選手のレーティングが軒並みマイナスなのですが、ディアバテは+4.8とチームで唯一のプラスを記録し、オン/オフコートでは14.7もの差が生まれています。今のホーネッツはディアバテがコートに入れば強豪チームのような効率ですが、ベンチに下がればこれがリーグ最悪レベルに落ちてしまうのです。
ホーネッツがトレードデッドラインでリチャーズとウィリアムズを揃って放出できたのは、間違いなくディアバテのブレイクがあってのことです。個人スタッツをみれば2人の7フッターがはるかに優秀ですが、ミスを取り返すハードワークやシュートすら打たせないディフェンスなど、スタッツに現れない貢献度でディアバテは特異な存在でした。サンズから加入したジョシュ・オコーギーが機能していることもあり、チームスタイルを考えると『高さ』よりも『平面の運動量』こそが必要不可欠な要素だと判断したのでしょう。
チームに欠かせない選手になって本契約を手に入れましたが、ディアバテの本当の勝負はここからです。再建中のチームで目立つことはできても、勝利を求める段階になっても信頼されるのか、得点力の低さを改善できるのかという課題もあれば、トレードが破談となり戻って来たウィリアムズと新加入のユスフ・ヌルキッチよりも優れた選手であることを示さなければ、再び目立たない位置に後退することになります。まだキャリア3年目の23歳、今シーズンの活躍を祝福しつつも、さらなるステップアップを期待したい選手です。
OFFICIAL: We have signed Moussa Diabate to a multi-year deal.
Read the press release: https://t.co/MmLMTveU6f pic.twitter.com/gZlAbFtgn6
— Charlotte Hornets (@hornets) February 9, 2025