ケビン・デュラント

「その5分間だけで決めつけるのはフェアじゃない」

ルカ・ドンチッチのレイカーズ移籍を始めとして大きな取引の連発となった今回のトレードデッドラインにおいて、ケビン・デュラントはヒートやウォリアーズに移籍する可能性があったとされる。特に実現すれば6年ぶりとなるウォリアーズ復帰にはそれなりの『現実味』があったようだ。

ウォリアーズはジミー・バトラーよりもデュラントを望んでおり、サンズも交渉に前向きだったが、デュラント自身がこれを固辞したとされる。ウォリアーズの『王朝』がピークにあった2019年当時、彼は自分がエースとして優勝することにモチベーションを見いだしネッツ移籍を選んだ。ウォリアーズの体制が当時と変わらず、時間の経過に合わせて老朽化していること、さらに彼と衝突したドレイモンド・グリーンとの関係もあり、ウォリアーズ移籍を受け入れなかったとされる。

しかし、噂はそれだけに留まらない。現在デュラントは4年契約の3年目を迎えている。今年のオフには契約延長が話題となるだろうが、いまだトップレベルの得点力を維持しているものの近年はケガが増え、9月に37歳になるデュラントに大型契約を与える判断は難しいところだ。今のチーム成績がここまで26勝26敗とパッとしないことも、その判断をより困難にしている。

デュラントのトレードは成立しなかったが、ビッグネームの補強に動かなかったサンズの姿勢に彼が不満を抱いており、オフにトレードを要求するのではないかとの噂もある。それに加えてサンズのロッカールームの雰囲気が悪いとの報道もあった。これは『ESPN』のラモーナ・シェルバーンによる発言だったが、いつもは噂に反応しないデュラントが、これには異議を唱えた。

「ラモーナ・シェルバーンがウチのロッカールームについて話しているのを聞いたよ。試合前の選手たちは集中していて、そんなにしゃべっているわけじゃない。何人かはトレーニングルームやウエイトルームにいる。この4カ月でたった5分間しか僕らのロッカールームを見ていない人が『雰囲気が悪い』と言うのは不公平だし安直すぎると思う。その5分間だけで決めつけるのはフェアじゃない」

デュラントは移籍にまつわる噂をNBAのビジネスの一部として受け止め、いろいろ言われるのは仕方ないと理解している。「誰でもトレードされる可能性があるし、その話題にされるのもビジネスのうちさ」

どんな反論をしても大した意味はないことを承知で、彼はこう続けた。「自分の契約を全うし、その先にどうなるかを見守りたい。1年半先のことが話題になっているけど、僕はそこに意識を向けていない。トレードの噂に対して一番納得いかないのは、僕だけに疑いの目が向けられることだ。僕の発言や態度はいつも拡大解釈されて伝えられるからね。結局のところ、僕たちが良いプレーをしてチームの状況が好転すれば、人々はそこに注目してくれるようになる」

愉快ではない雑音を消し去るためにも、デュラントはサンズを上位へと引き上げなければならない。