「僕は自分自身を多彩なディフェンダーと思っている」
『ジミー・バトラー問題』に振り回された時期が過ぎ去り、ヒートはようやくバスケに集中できる環境を手に入れた。そこには新たな戦力として、アンドリュー・ウィギンズ、カイル・アンダーソン、デイビオン・ミッチェルの3人が加わった。
現地2月8日に彼らの入団会見が行われ、パット・ライリー球団社長は「シーズン途中の移籍がいかに大変かは理解しているつもりだ。チームの環境に馴染むためのサポートは惜しまない」との言葉とともに、彼らを紹介した。
この中で補強の目玉となるのはアンドリュー・ウィギンズだ。バトラーに代わり先発スモールフォワードを務めるであろう彼は、バトラーのように強烈な個性を押し出すタイプではない。それでも攻守両面で高いスキルを持ち、チームのために自己犠牲を惜しまないプレーヤーであることは共通している。
ティンバーウルブズとウォリアーズで過ごしてきたキャリアのハイライトは2021-22シーズンのNBA優勝だろう。あくまで主役はステフィン・カリーなど『王朝』の古株だったが、ウィギンズのハードワークと多彩なプレーなくして優勝はあり得なかった。その働きが極めて大きかったからこそ、こういったトレードを何度も経験しているスティーブ・カーが彼の退団に感傷的になった。
ウィギンズは子供が誕生したばかりで西海岸からマイアミへ引っ越すことになったが、キャリア11年目のベテランだけに、このトレードを落ち着いて受け止めていた。「NBAではいつだってトレードの噂が聞こえてくるものだ。実際に決まるまで何が本当かは分からないけど、決まった瞬間に新しい章がスタートする。これはNBAのビジネスであり、僕はビジネスとしてここに来たけど、ここで何か特別なことが起きる予感がする。素晴らしい選手たち、素晴らしいコーチングスタッフ、素晴らしいファンがいることにワクワクしているよ」
ウィギンズの強みは、周囲と溶け込みながらチームに貢献できる点だ。彼はこれまで移籍を1度しか経験していないが、ウォリアーズにはすぐに馴染み、気が付けば攻守に欠かせない存在になっていた。今回も同じことをする自信が彼にはある。
「僕は自分自身を多彩なディフェンダーと思っているし、複数のポジションをこなせるから、チームにフィットするのは難しくないと思っている」
激しいディフェンスに定評のあるデイビオン・ミッチェルは「ドラフト前にバムとは一緒に練習させてもらった。ヒートのスタイルは僕の好みだからプレーするのが楽しみだ」と語り、ベテランのカイル・アンダーソンは「自分らしく意見を言うことでコミュニケーションを取っていきたい。重要だけど、あまりやりたがる選手が多くはない役割だ。僕がこれまで学んだことや経験したことを伝えて、チームの役に立ちたい」とリーダーシップを担う意気込みを見せた。
3人は現地2月10日のセルティックス戦からプレーする予定だ。ウィギンズは言う。「ウルブズでもウォリアーズでもコート内外で素晴らしい経験をさせてもらって、ここでも同じことが起こると感じている。ヒートは勝利に向かって正しいことを、正しいやり方でやるチームだ。その一員となったからには一生懸命やるだけだ。努力すれば勝利と成長が手に入る。そんなヒート・カルチャーを学びたい。今までやってきたように、シュートもリバウンドもディフェンスも、チームの勝利のためにできることは何だってやるよ。どんな試合であれ、必要なことをするつもりだ」