後半に怒涛の追い上げを見せた群馬が北海道に連勝
2月9日、群馬クレインサンダーズはホームにレバンガ北海道を迎えた。前日の第1戦で群馬は強固なディフェンスを敷くことで70-55と快勝した。第2戦は15点ビハインドで前半を終える苦しい展開となるも上位争いを演じるチームの意地を見せて、後半の失点を22に抑えて73-68と見事な逆転勝ちを収めた。
第1クォーターはボールマンへのプレッシャーを高めた反面で北海道にオフェンスリバウンドを許して波に乗れず、第2クォーターは今シーズンのワーストとも呼ぶべき10分間に。3ポイントシュートを4本連続で決められた後、リズムを変えようとゾーンディフェンスを敷くも3ポイントシュートで簡単に破られてしまう。さらにこのクォーターも6本のオフェンスリバウンドから11点のセカンドチャンスポイントを許したのも痛かった。
それでも後半の群馬はディフェンスの強度を上げ、トレイ・ジョーンズのアタックを中心にオフェンスを組み立て、ファウルを引き出してのフリースローで着実に点差を詰めていく。9本のフリースローを成功させて1点差まで迫り、試合を振り出しに戻した。最終クォーターはどちらも点の取れない我慢の展開に。それでもジョーンズのフリースローで得点を動かし、藤井祐眞の4点プレーでついに逆転。その後も点差は離れなかったものの、要所で力を見せた群馬が接戦を制した。
カイル・ミリングヘッドコーチは安堵の表情でこう語る。「昨日のようにプレーしたかったのが正直なところです。前半は北海道が自信を持ってプレーする状況をこちらが作ってしまった。ハーフタイムに『こういうことじゃないよね?』と選手に伝えて、それに選手が応えてくれたのは良かったです」
先発起用でも「やること自体は変わらなかった」
この試合、チームハイの21得点を記録したジョーンズが勝利の立役者であことは間違いない。しかし、負傷により前節を欠場して、今節も出場時間に制限がある中で、ジョーンズに代わり先発を務めたのが八村阿蓮だった。
八村のスタッツは3得点1リバウンド1ブロックと目立つものではなく、そのブロックも3ポイントシュートも試合開始直後に記録したもの。しかし、八村の貢献はスタッツには残らないもので、ミリングヘッドコーチは彼を20分48秒プレーさせ、勝負のかかった最終クォーター終盤もコートに残した。
指揮官は八村起用の意図をこう明かす。「阿蓮は今シーズンは競った状況での出場はなかったですが、ここ数試合でしっかりプレーしてくれていたのが今日の出場になりました。最後は(ライアン)クリーナー選手の3ポイントを止めないといけない状況で、ビッグマンとスイッチしても阿蓮なら守ってくれると考えての起用です」
ジョーンズが欠場した前節のファイティングイーグルス名古屋戦、そして今節はどのような意気込みで臨んだのか。「やること自体は変わらなかったです。持ち味のフィジカルをディフェンスで生かすことと、要所で得点を決めるプレーが求められています」と八村は言う。
「トレイがいない状況で、自分がステップアップしなければいけないと思っていました。前節から身体やメンタルの状態も良いです」
ウイングを守る時にはスクリーンをかわしてマークマンを追いかけ回す機動力を見せ、ビッグマンとのマッチアップでは身体を張って簡単に押し込まれない。八村自身もストロングポイントを理解している。「スイッチしてもフィジカルで守れるのが自分の武器で、それをなくしたら試合には出られません。そこは最低限としてやっていき、プラスして得点に絡んで積極的なプレーを見せたいです」
現在はベンチからの出場で、いわゆる『3&D』としてロールプレーヤーの役割を全うしているが、自身が思い描く八村阿蓮の完成形はここではない。「チームでの役割がまず1番で、今シーズンはディフェンスです。ゆくゆくはチームの中心選手になっていきたいので、。そのための練習もしています」
群馬は現在27勝10敗で東地区2位。クラブ初のチャンピオンシップ進出、さらにその先を見据える状況でバイウィークを迎える。「バスケはチームスポーツなので個々がどんなに力があっても勝てません」と八村が言うように、誰かが抜けたら別の誰かがその穴を埋めるチーム力の高さで勝ってきた。八村の存在感が増すことがチームの底上げに繋がるのは間違いない。