富樫勇樹

エース富樫がシュートわずか3本、まさかの0得点に

2月1日、千葉ジェッツはホームで横浜ビー・コルセアーズと対戦し、66-67と競り負けた。水曜の宇都宮ブレックス戦に続く敗戦で、今シーズン21勝13敗と貯金を減らしている。

試合の立ち上がり、千葉Jはオープンシュートを続けて外すと、横浜BCにオフェンスリバウンドを多く取られて第1クォーターを13-23と出遅れる。その後は、守備の強度を高めることで徐々に盛り返していき、第3クォーター終了間際に金近廉の3ポイントシュートで52-49と一度は逆転する。しかし、第4クォーターに入るとイージーシュートを外したり、不用意なターンオーバーによって自ら流れを手放してしまい、1点リードの残り3分から2分間半に渡って無得点と、ここ一番でオフェンスが停滞したことで痛恨の敗戦を喫した。

千葉Jの大黒柱である富樫勇樹は、本来の力を発揮できないもどかしさを語る。「もちろん第1クォーターのビハインドは大きかったです。でも、ここ最近の試合は自分たちのリズムでプレーできていることがほとんどない感じです。我慢して第4クォーター途中まで接戦の試合は多いですが、そこから勢いに乗って突き放したりする場面があまりないというイメージです」

今日の富樫は26分19秒出場で、まさかの0得点に終わった。リーグ随一のスコアリングガードである富樫もチームが大勝して自分で点を取りに行く必要がない展開であれば無得点に終わってもいいだろうが、今回は違う。しかもシュートアテンプトはわずか3本。リーグ随一の勝負強さを誇る富樫が接戦の第4クォーターで1本しかシュートを打っていないのは大きな問題だ。

「必ずしも僕が1試合10本シュート打たないといけないことはないですが、この流れの中で、もうちょっとセルフィッシュに自分でクリエイトしないといけない場面もあったと思います」

こう自身のプレーを振り返る富樫だが、同時に「ただ、周りにクリス(クリストファー・スミス)、ディー・ジェイ(ホグ)、(渡邊)雄太がいて、他の選手のリズムを作らせないといけない。いくらタレントがいてもボールは1つでバスケットボールをやっているので、5人がお互いに助け合う中で、自分の良さを出していくことが大事です」と、司令塔としての役割も大切にしている。

ジョン・ムーニー

ジョン・ムーニー「あと数試合で調子は戻る」

千葉Jは開幕14勝2敗とスタートダッシュに成功するが、その後はホグ、ムーニーの離脱もあり今日の試合も含めて7勝11敗に留まっている。他のチームならいざしらず、千葉JにとってBリーグ発足からここまで負けが続くのは初めてと言ってよい。

故障者続出という理由があるにせよ、黒星が続いたことの負の影響がチームにあると富樫は語る。「ムーン、ディー・ジェイがケガして以降は負け越しています。それは当たり前ですが、チームが上手く行っていない雰囲気がまだ残っていると感じています。チームの雰囲気が暗いわけではありませんが、試合を通してもお互いの良さを引き出せないことが続いてしまっているのが事実です」

そして富樫は「プレーの内容どうこうより、まずは負けに慣れてはいけない。そもそも今の成績では、ワイルドカードでのチャンピオンシップ出場すら危ない位置です。その危機感を持ってやっていきたいと思います」と気を引き締めている。

一方、敗戦の中でも明るい材料となったのが、右足の故障で12月6️日からインジュアリーリスト入りしていたゴール下の要、ジョン・ムーニーの復帰だ。まだ万全とは言えない中、21分4秒の出場で8得点11リバウンドと安定したパフォーマンスを見せた。

「ケガでプレーできないことにフラストレーションを感じていました。あらためてコートに立ってファンの皆さんの声援を聞くことができたのは素晴らしかったです」

こう語るムーニーは、次の思いでケガの期間を過ごしていたと明かす。「僕は常にバスケットボールをプレーするのが好きですし、チームを助けることができなかったのは辛かったです。ケガした足を回復させ、ウエイトルームでより良いコンディションにすることに集中しようと気持ちを切り替えました。あと数試合で調子は戻ると思います。」

富樫勇樹

「プレッシャーがあるからチームとして強くなれる」

ムーニーは、「ケガは試合の一部で、対応しないといけないです」と冷静に語り、「まだ多くの試合が残っています」と巻き返しへ意気込む。

「今、僕たちはようやくチームとして万全になりました。ここから自信を取り戻すことが大事です。いろいろなことが起きていますが、最終的に5月にどれだけ戦えるチームになれるのか、それが最も重要です」

千葉Jは誰もが認めるリーグ随一のタレント集団で優勝候補だ。ケガ人続出という不可抗力があったにせよ、自分たちの本来の力を発揮できずに順位が上がらないのはフラストレーションが溜まるものだ。それでもヘッドコーチを務めるトレヴァー・グリーソンは、「逆境をどう乗り越えていくのかがプレーオフに繋がっていきます」と一切の言い訳をせず正面から課題に向き合う。

経験豊富な名将は「こういうプレッシャーがあるからチームとして強くなれる部分はあります」と続け、苦境を乗り越えるにはファンを含めた千葉Jにかかわる人すべてが一つになって戦うことの大切さを強調する。

「ケガ人がいたことでベンチの選手が出番を得てチーム力を高められた部分もありました。こういう苦しい時こそチームだけでなく、ファンの皆さんと一緒に団結して戦い抜いていくことで、これから先に良いことが起こると思っています」

今の千葉Jに必要なのは、まずは明日の試合に勝って連敗を止めること。そのためには指揮官が語るように、ファンの声援を力に変え、ホームアリーナに大きな一体感を作り出すことだ。