第3クォーターに流れをつかみリベンジ
1月26日、群馬クレインサンダーズと横浜ビー・コルセアーズの第2戦が開催された。前日の第1戦は後半に逆転を許し敗戦した群馬だったが、第2戦は第3クォーターで20点のリードを築き、81-67で勝利した。
試合後、群馬のカイル・ミリングヘッドコーチはリベンジを果たしたチームの様子を振り返った。「昨日の敗戦から選手のモチベーションが高かったです。昨日よりもフィジカルにプレーし、横浜BCさんを高い位置でプレーさせるように伝え、選手がやるべきことをやってくれました」
ミリングヘッドコーチの言葉通り、群馬は前日の敗戦を引きずることなく、序盤から積極的なプレーを見せた。前日わずか3得点に終わった藤井祐眞が3ポイントシュートを沈めると、同じく7得点にとどまったトレイ・ジョーンズが得意のペリメーターショットを成功させて、第1戦とは違うと感じさせるスタートを切る。第2クォーターも、藤井とジョーンズが着実に得点を積み重ねてリードを広げたが、前日好調だったキング開に2本の3ポイントシュートを許すなど、完全に主導権を握れないまま46-37で前半を折り返す。
流れを一変させたのは、第3クォーター序盤。藤井の3ポイントシュート、ジョーンズのブロックと3ポイントシュートなどでリズムをつかみ、8-0のランでリードを一気に17点に広げた。その後横浜BCの反撃を喰らいつつも、残り3分53秒にはこの日最大となる20点までリードを広げた。ここから横浜BCのゾーンディフェンスを攻略できず得点が止まり、20点あったリードは10点にまで縮まったが、藤井が起死回生の連続3ポイントシュートを成功させて逃げ切った。
藤井は試合をこう振り返る。「昨日は負けてしまって、内容も良くなかったですし、僕たちがやりたいことを出せませんでした。今日も昨日と同じような点数で折り返して、昨日は3クォーターに逆転されてしまったので、後半も気を引きめてやろうと話していました」
藤井は7本中5本の3ポイントシュートを成功させて18得点を記録。フィールドゴール9本中わずか1本成功に終わった前日からカムバックを果たした。「昨日、僕がラストショットを打って外してしまって、僕自身も悔しかったですし、チームに迷惑をかけたと反省しました。今日は特に(戦術を)変えたとかは一切なくて、気持ちを切り替えてやるしかないと思っていました」
この悔しさが、ゲーム2での巻き返しの大きな糧になった。「ファンの皆さんも思ったと思いますが、なんで今日あれだけ入って、昨日入らないんだっていう(笑)。『昨日決めておけよ!』って僕自身も思っていますし、そう思うくらい昨日は苦しくて、自分にイライラすることもありましたが、今日はチームの勝利に貢献できてよかったです」
「自分が外でボールを受けたら、しっかり打とうと決めていました」
14点という大きなリードをつけて勝利を収めた群馬だが、課題も見つかった。前述の通り、第3クォーターから最終クォーターにかけて、ゾーンディフェンスに対応できずに得点が止まってしまった。
ミリングヘッドコーチはゾーンアタックに対して、次のように話す。「どこにパスを出すのかというのが重要でした。シュートを打てる選手が打てる状況になるよう、周りがボールを動かさないといけないとゲーム中に話しました。相手がゾーンできた時のリズムの組み立て方を改善していかなければならないという課題が見つかったので、今後取り組んでいきます」
得点ができない状況を打ち破った藤井は、ゾーンディフェンスが敷かれ始めた時間帯はベンチにいた。「アタックできていないことはないと思っていました。ただ、アタックするけど打てずにキックアウトして、またアタックして…の繰り返しで時間が過ぎて、タフショットを打たされる感じでした」
そう感じていたからこそ、自分がコートに立った時にやるべきことは明確だった。「オープンは作れている場面もあると思っていたので、自分が外でボールを受けたら、しっかり打とうと決めていました。トレイがいいパスをくれたので思い切り打てました。もちろん『決めてやろう!』という気持ちもありました」
群馬は前節の大阪エヴェッサ戦でも、同じような理由で苦しい時間帯を作っていた。敗れた名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦、天皇杯の三遠ネオフェニックス戦も同様だった。苦しみながらも最終的に勝利する粘り強さもあるのは事実だが、よりプレーの精度を高めていくために藤井は兜の緒を締める。
「連勝していた時はチームとしてオフェンスを作ったり、リバウンドを獲ってからスムーズにオフェンスを組めていましたが、流れが途切れてしまったりコールプレーを共有できていなかったり、崩れてしまうことがありました。やるべきことをやれば、連勝していた時のように良いリズムで戦えます」
現在、群馬は東地区2位でチャンピオンシップ圏内を維持しているが、今節の結果で同3位の千葉ジェッツとの差は2ゲームに縮まった。レギュラーシーズンの残りは決して平坦なものにはならないだろう。
この日の試合展開と同様、今後も浮き沈みのある試合はあるかもしれない。ただ藤井の底力があれば、何度でも乗り越えられると思わせてくれる一戦だった。