小酒部泰暉

「みんながステップアップしなければいけなかった」

12月29日、アルバルク東京はアウェーで群馬クレインサンダーズと対戦。前日の第1戦は前半で22点のビハンドを背負う苦しい展開になりながらも、第3クォーターで点差を詰め接戦に持ち込み、敗れたものの地力を見せた試合だった。第2戦は序盤こそリードを奪ったが、第2クォーター以降は群馬にリードを許して73-80と、痛恨の連敗を喫した。

第1クォーター終盤にA東京はザック・バランスキーの3ポイントシュートを皮切りに0-7のランでリードを広げ、第2クォーターには強固なインサイドディフェンスを敷き、オフェンスリバウンドも獲得できていたが、群馬の3ポイントシュート攻勢に苦しめられる。

後半に入って群馬の得点を止める時間帯を作り、1点差まで迫る場面もあったが捉えきれなかった。最終クォーター開始直後には追いついたものの、そこから連続得点を許し最後までリードは奪えなかった。試合を通じてオフェンスリバウンドを14本獲得し、セカンドチャンスで21得点を挙げるA東京らしさを示したものの、群馬の試合巧者ぶりに一歩及ばなかった。

A東京のヘッドコーチ、デイニアス・アドマイティスは試合をこう振り返る。「アップダウンがかなりあり、堅実にゲームを進めることができませんでした。敗因を挙げるとすれば、一つはシューティングファウルで8失点してしまったことです。最終的に7点差で負けているのでそこは大きかったです。これは自分たちがコントロールできることでもあります。もう一つは藤井祐眞選手や辻直人選手に対するディフェンスが良くなかったです。昨日は上手く守れていましたが、今日は2人合わせて13本中9本の3ポイントシュートを決められてしまいました」

群馬に3ポイントシュート成功率50.0%を許し、さらに25本のフリースローを献上した。第1戦はペリメーターでの失点が痛手だっただけに、得点源を変えてきた群馬に対応する難しさもあった。さらに不動の先発ガードであるテーブス海の欠場も影響した。

その中で全員のステップアップが必要不可欠だったと振り返る。「ガード陣もウイング陣もみんながステップアップしなければいけなかったです。そういう意味では群馬さんの辻選手や藤井選手が良いお手本を見せてくれたと思います。自分たち次第ですが、特にポイントガード陣はコンスタントに活躍していかないと厳しいです」

アルバルク東京

「もっとスマートに戦っていかなければいけない」

A東京は昨シーズンと今シーズン、週末で同一カードの連敗はなく、さかのぼると2022-23シーズンのチャンピオンシップセミファイナルで千葉ジェッツに連敗して以来となった。テーブスの欠場は要因ではあったものの、これまでは誰かがいなくても誰かが補って勝利してきたのがA東京の強さだった。

結果だけ見ればA東京にとってはショッキングな週末だったが、前日は無得点に終わった小酒部泰暉は意地を見せた。チームの日本人最長となる25分38秒コートに立ち、日本人最多の17得点を記録した。

小酒部は前日の敗戦を受けて、この試合に強い気持ちで臨んだと話す。「昨日の課題として気持ちの部分でやられてしまったので、切り替えて今日はタフに入ると決めていました」。しかし、後半は上手くいかなった部分も多かった。「第4クォーターの出だしとか自分たちのミスから失点に繋がってしまい、それが敗因になったと思います」

「昨日は特に自分らしいプレーができていなかったので、気持ちを入れ替えて積極的にアタックしました」という言葉通り、いつも以上に積極的にリングを狙う姿があった。さらに3ポイントシュートは7本中4本成功させて、群馬にとっての脅威となった。

今シーズン、47.4%と高確率を誇る3ポイントシュートについては次のように語る。「そこまで確率は気にしていません。打つべきところで打つだけです。個人的には昨シーズンは得点に絡めなかったので、その反省として今シーズンは積極的にアタックすることを考えてやっているので、それが良い結果に繋がっているのだと思います」

長いシーズンの中では、良い時もあれば思うようにいかない時もある。今節の結果は小酒部にとっても受け入れ難いものだっただろう。しかし、敗戦から学べることも多い。小酒部は今節を次のように振り返り、前を向く。「2試合通じて後手に回ることがありました。モチベーションは改善点としてやっていく必要があり、もっとスマートに戦っていかなければいけないという反省もありました。反省点ばかりの試合でした」

今節の結果で中地区首位の三遠ネオフェニックスとの差は2ゲームに広がった。しかし、シーズンはまだ中盤で、巻き返すチャンスはたくさんある。最終的にチャンピオンに輝くために、負けがチームを強くしてくれることもあるだろう。チームを背負っていく覚悟を持って、確実なステップアップを見せている小酒部の再起に注目だ。