ホーバスHC「彼が初めての代表であることをすっかり忘れていました」
11月21日、男子日本代表はアジアカップ2025予選Window2でモンゴル代表と対戦し93-75で快勝した。
この試合、日本代表はトム・ホーバスヘッドコーチの下でのプレー経験豊富な選手と、そうでない選手たちでパフォーマンスに大きな違いが出た。そんな中、富樫勇樹、比江島慎、西田優大、吉井裕鷹の代表常連組と共に先発を務め、ゴール下を制圧したのが、今回が代表デビュー戦となった琉球ゴールデンキングスのアレックス・カークだ。
今年の1月末に帰化申請が受理されたカークは、スモールラインナップのモンゴル代表を相手にインサイドで確実に得点を重ねフィールドゴール11本中8本成功の17得点8リバウンド4ブロックと攻守にわたってゴール下を支配。また、5アシストが示すように、相手のマークを引きつけてのナイスパスも光っていた。そしてスクリーナーとしてハンドラーを楽にプレーさせるなど、数字に出ない貢献も大きかった。
ホーバスヘッドコーチは「彼が初めての代表であることをすっかり忘れていました。素晴らしいプレーを見せてくれてとてもハッピーです」と絶賛している。
2017-18シーズンからBリーグでのプレーを続けるカークは「もちろん素晴らしい経験でした」と試合を振り返る。「先週の火曜日までBリーグの試合をしてから、チームに合流しました。すべてをできるたけ早く学んで今日の試合に臨みました。試合はとても楽しかったです。勇樹、比江島はこれまで長くライバルとして対峙していました。彼らと一緒のチームで戦い、吉井と再びチームメートになるのは素晴らしい経験でした」
カークは帰化申請が受理された時、日本代表でプレーすることは夢と語っていた。そして今回、それが叶ったことで胸に込み上がる思いがあったと明かす。「感傷的になりました。帰化申請のプロセスはとても大変で、多くの人々が助けてくれました。僕だけでなく、家族や妻、本当にたくさんの人の支えによって帰化することができました」
A東京時代の同僚、吉井について「僕と一緒にプレーしていた時とは全く違う吉井でした」
そして、アルバルク東京で中心選手として一緒にリーグ連覇を成し遂げたかつての盟友たちの存在が日本代表でのプレーを考えるきっかけになったと語り、彼らへの感謝をあらためて強調する。「日本代表でプレーする夢を持った始まりは、(A東京の同僚だった)田中大貴、安藤誓哉、竹内譲次、馬場雄大が代表でプレーしていた際、彼らから『君も将来、代表でプレーすることになるかもね』と言われたことです。そして今日、こうして日本代表でプレーできたのは最高の気分です」
また、同僚と言えば、吉井ともA東京で一緒にプレーしていた。今回は4番ポジションを吉井、5番をカークと2人でインサイド陣を構成してモンゴルを圧倒したが、「僕と一緒にプレーしていた時とは全く違う吉井でしたね(笑)。彼の成長ぶりにとてもハッピーな気分です」と笑顔を見せた。
「おそらく彼と最後に一緒にプレーしたのは2シーズン前のチャンピオンシップの島根(スサノオマジック)戦です。そこから彼はプレーだけでなく、リーダーシップに関しても向上し、周りとよく話すようにもなりました。彼はこのままスローダウンせずに成長を続けていくと思います」
代表の帰化枠はワールドカップ、パリ五輪と2大会続けて大活躍のジョシュ・ホーキンソンがファーストオプションの地位を確立している。だが、故障など不測の事態でホーキンソンを起用できない可能性はあり、カークの存在は帰化枠の層を厚くしてくれる。今回のWindowsにおいて、カークがホーバスヘッドコーチのスタイルにしっかりと適応できたことは大きな収穫の1つだ。