「派手なことは何もしない。ただシンプルに」
キャバリアーズの開幕からの連勝を止めたのは、『王者』セルティックスだった。現地11月19日、TDガーデンでの試合は120-117でセルティックスが勝利。どちらも実力を発揮する好ゲームとなったが、試合開始直後を除けば常にセルティックスがリードする展開だった。
優勝した昨シーズンから引き続き、セルティックスの強みはどの選手も3ポイントシュートを打てる爆発力であり、ただシュートタッチが良いだけでなく、チームで決めるべきシュートチャンスを作り出した。今回はスイッチを強いてダリアス・ガーランドを標的にし、ジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンがフィジカルを生かしたドライブでペイントエリアへと押し込む。キャブズはヘルプディフェンスでこれに対応するが、そこで外が空くのを見逃さなかった。
インサイドアウト、さらにはエクストラパスからのキャッチ&シュートと、キャブズのローテーションより素早くボールを回してチャンスを作り出すことで、前半に22本中14本(成功率63.6%)と3ポイントシュートの雨を降らせたセルティックスが65-48とリードして試合を折り返す。
それでもキャブズは第3クォーターに40-28と猛追し、終盤まで食らい付く。こちらの強みは速い仕掛けからペイントエリアでのフィニッシュ。セルティックスのディフェンスに緩みが出ると一気に流れを引き寄せ、エバン・モーブリーを中心に猛反撃を見せた。
セルティックスは受け身に回り、3ポイントシュートの確率も落ちてリードを吐き出していったが、追い付かれることは許さなかった。完全にキャブズに流れがある時間帯に踏ん張ったのはテイタムで、チームオフェンスが機能しない中でも彼の踏ん張りで流れが完全にキャブズに傾くのを防いだのが大きかった。
大一番で33得点12リバウンド7アシストと大活躍したテイタムは言う。「ディフェンスに集中したのさ。これまでに何度もこういう状況に直面したけど、それは『ディフェンスに集中すべき時』なんだ」と、テイタムはこの時間帯のプレーを振り返る。お互いに連携して守り、相手を止め、オフェンスに転じる。そうやって正しいプレーをするんだ」
試合を通じて見られたのは、セルティックスの攻守におけるケミストリーの高さだ。キャブズもそれを生かして開幕から15連勝を重ねてきたが、今回はセルティックスが上だった。テイタムはその秘訣を「シンプルなことを上手くやるだけさ」言う。
「僕らは多くの時間を一緒に過ごし、ビッグゲームもたくさん経験している。それで僕らは派手なことは何もしない。ただシンプルにプレーするだけ。カップ戦でもレギュラーシーズンでもファイナルでも同じで、常に正しくゲームを読んでプレーしようとする。試合の展開やシュートタッチの良し悪しは関係なく、正しい読みをすることがすべて。そうすれば結果が出ると、これまでの経験から分かっている」