千葉ジェッツ

文=佐保めぐみ 写真=B.LEAGUE

ディフェンスから得意の速攻に持ち込んだ千葉の完勝

千葉ジェッツvs秋田ノーザンハピネッツの水曜ナイトゲーム。4月3日のこのカードでは終盤まで秋田がリードする展開となったが、最後に逆転した千葉が85-83と勝利している。それから1週間後の再戦、秋田はスターティングメンバーを前回と変えて、3試合ぶりのスターターとなる中山拓哉を起用した。

前回と同様に両チームともハードなディフェンスをし、トランジションオフェンスから得点を取り合う展開に。前回は休養で出場時間のなかった中山はディフェンスリバウンドからの速攻、カディーム・コールビーへのアシストと活躍。一方の千葉はアキ・チェンバースのレイアップがコールビーのブロックショットに阻まれるなど、立ち上がりは本来のオフェンスが出ない。

それでも第2クォーターに入ると千葉が流れを作り始める。一つのポイントはジャスティン・キーナンを徹底したディフェンスで封じたこと。前回は44得点を挙げたキーナンへの対策を大野篤史ヘッドコーチは「特別に大きなことを変えたというよりも、自分たちが今まで秋田さんにやってきた対応策をしっかりエクスキューションしようと、それを本当に徹底してくれた」と選手の遂行能力を称えた。こうして千葉が43-36と逆転して前半を終える。

千葉ジェッツ

千葉の怒涛の得点ラッシュ、第3クォーターで決着

そして後半、千葉の大爆発が始まる。開始早々、石井講祐のアシストから決まったチェンバースの3ポイントシュートをきっかけに、一気にペースアップ。マイケル・パーカーのスティールから千葉お得意のトランジションオフェンスが出て、ここから怒涛の得点ラッシュとなった。

富樫勇樹は、得点こそは伸びなかったものの、速攻からのノールックパスでジョシュ・ダンカンのダンクシュートをアシストするなど、この試合9本ものアシストに成功。ディフェンスも緩みを見せず、後半開始からの約5分間、秋田に得点を許さなかった。

前半は我慢のディフェンスを展開してきた秋田だが、走り始めた千葉を止めるのは難しい。千葉は出場する選手がまんべんなく得点を重ね、田口成浩のこのクォーター2本目の3ポイントシュートで第3クォーターを締め、71-48と一気に勝敗を決めてしまった。

B1残留のために負けられない秋田は最後まで抵抗を続けるも、終盤には足が止まり、シュートもリングに嫌われ続ける。こうして千葉が主導権を握ったまま、91-62と完勝した。

千葉ジェッツ

崩れた秋田「気持ちの面で100%かそれ以上を」

千葉の大野ヘッドコーチは、「先週は自分たちのディフェンスのソフトさで、どっちに転ぶかわからないゲームをしてしまった。今回は自分たちのマインドをセットすること、インテンシティレベルを上げることを課題にやろうと話しました」と、意識の改革を語る。

「秋田さんは本当にタフなチーム。そのタフさを上回るために自分たちのコートの中で熱い気持ちを持って、選手は実践してくれて良いゲームになった」と選手たちを称えた。

一方、敗れた秋田のジョゼップ・クラロス・カナルスヘッドコーチは、「前半は戦う姿勢を見せることができたが、レフェリーのコールもいくつかあってそこからリズムが崩れた。後半は前半のようなデイフェンスができずに崩れ、あきらめてしまった」と語る。

「気持ちの面で100%、またはそれ以上を出さないと、自分たちより上と言われるチームには勝てない。それ以下を出してしまったらこのような結果になる。これだけ点差が付いたということは気持ちだけでなく理由があるが、一番大きいのは気持ち」とメンタルの差を敗因に挙げた。

秋田はこれで11連敗。先週の千葉戦では敗れたとはいえ内容は今シーズン最高とも呼ぶべきものだったが、そのパフォーマンスを維持できずに勝利が遠のいている。もっとも、残留争いのライバルもなかなか勝ち星が伸びない状況。過密日程が続く中、今週末に待つレバンガ北海道との連戦では2つ勝ちたい。ここで心身ともに立て直せるか、正念場を迎える。