持ち味を存分に発揮し「今日は良い感覚がつかめた」
佐賀バルーナーズのジョシュ・ハレルソンはBリーグ第5節、アルバルク東京との第1戦で負傷退場した。後日のリリースで、復帰まで4、5カ月を要する右足関節脱臼骨折だったことがクラブから発表された。
ポイントガードを外国籍のレイナルド・ガルシアが務める佐賀にとって、帰化選手のハレルソンの離脱は痛恨と言える。ガルシアを起用する場合、自ずと日本人ビッグマンがその穴を埋めなければならないからだ。年々外国籍選手のレベルが上がっているBリーグにおいて、日本人ビッグマンが彼らと対抗するのはどうしても難しく、サイズダウンにも繋がる。実際に、大黒柱を失った佐賀はインサイドの不利を覆せず、A東京との第2戦に66-79で敗れた。
それでも、この日の佐賀にはポジティブな要素もあった。それは金丸晃輔の覚醒だ。今シーズン2度目の先発を任された金丸は前半で12得点を挙げると、第3クォーターには15得点を固めてシーズンハイの27得点を記録。オフェンスリバウンドから失点を重ね、前半だけで25点ものセカンドチャンスポイントを献上したが、ブローアウトすることなく後半を互角以上に戦えたのは金丸の活躍があったからだ。
金丸は「ジョシュが出られないということで、ディフェンスとリバウンドをみんなで頑張らないといけない状況でしたが、今日はそれが全然できずにほとんどセカンドチャンスでやられてしまいました。それでズルズルいってしまった感じです」と敗戦を振り返る。
ただ、自身のパフォーマンスについては確かな手ごたえがあった。味方のスクリーンをうまく使ってマークを外し、キャッチ&スリーを沈めれば、身長のミスマッチからポストプレーでも得点。マークマンの心理を読み切り、ファウルを誘発して7本のフリースローもすべて沈めた。「昔はこれぐらい取っていたので、なんか久しぶりの感覚というか。負けちゃいましたけど、今日は良い感覚がつかめたと思うので、もっと質の良いオフェンスをしていければと思います」
宮永HC「金丸選手はこれがスタンダード」
以前の金丸はその突出したシュート力を武器に得点を量産し、シーホース三河に在籍していた5シーズンの平均得点は16.3だ。「それぞれのチームで役割がある」と言うように、三河から移籍して以降はプレータイムの微減や役割の変化とともに平均得点が2桁に届かない期間が続いていた。しかし、ハレルソンの長期離脱が決定した今、金丸には再びスコアラーモードになることが求められそうだ。
佐賀の宮永雄太ヘッドコーチも以下のように考えている。「準備してる個別のプレーの中で、周りのスクリーナーやパサーが彼に少しずつアジャストできるようになってきたと感じます。金丸選手はこれがスタンダードなので、彼がウチにアジァストしたというより、僕も含めて周りの選手が今回のようにできれば、シュートチャンスはもっと引き出せると思います。今日のところは良い部分もたくさんありましたし、継続してできるところをしっかりと見極めたいと思います」
金丸は以前から、周りのメンバーの協力があってこそ自分は生きると強調し、今回も「僕の場合、連携が必要なのですぐにはうまくいかないだろうとは思っていた」と言う。10月19日の秋田ノーザンハピネッツ戦では無得点に終わり、直近3試合では平均8.0得点に終わっていたため「ぶっちゃけ、ここ数試合は全然力になれていなかった」とも言ったが、「フォーメーションの狙いどころも分かってきているし、僕が2人を引きつけてノーマークも生まれました。良い方向になってきているんじゃないかと思いますし、チームから(得点を)求められているのであればそれを出せるように」と、さらなる活躍を誓った。
また、チームの顔である角田太輝も「依存してしまう部分はあるかと思うんですけど、任せてバランスよくやっていきたい」と、金丸の復活を歓迎している。
冒頭で説明したように、ハレルソンの長期離脱はガルシアの強みを生かし切れない状況を意味し、佐賀にとって大きな痛手だ。それでも、5年連続でレギュラーシーズンベストファイブに選出され、2020-21シーズンには最優秀選手賞(MVP)も受賞した金丸が本来の姿を取り戻すことができれば、ピンチをチャンスに変えられるはずだ。
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