パスカル・シアカム&タイリース・ハリバートン

24点のリードを失うも延長で奮起、弱点を克服して勝利

ペイサーズはピストンズとの開幕戦に勝利した後は3連敗と低調なスタートを切った。それでも現地10月30日のホームでのセルティックスでは、カンファレンスファイナルの再現とあって気合い十分。攻守によく集中して今シーズン一番のパフォーマンスを見せる。第3クォーターまでにパスカル・シアカムとベネディクト・マサリンがそれぞれ23得点を挙げてオフェンスを引っ張り、第3クォーター終盤に24点のリードを奪った。

しかし、第4クォーター残り7分の時点でも19点差とセーフティーリードを保っていたはずが、前年王者かつ開幕から4戦全勝と絶好調のセルティックスはあきらめない。3ポイントシュート攻勢で追い上げ、残り14秒でジェイソン・テイタムがタイリース・ハリバートンの真正面から放った3ポイントシュートを決め、124-124で試合は延長へと入った。

ペイサーズはハイテンポな攻撃バスケが売りだが、超攻撃的であるが故に受け身に回ると脆い。その弱点は選手たちもインディアナのファンも理解しており、大量のリードを溶かして延長に持ち込まれた時点で、敗色濃厚に思えた。

マイルズ・ターナーは足首を痛めて欠場しており、アンドリュー・ネムハードは膝に痛みが出て試合序盤の5分しかプレーせず。主力欠場の影響はオーバータイムになればより色濃く出てくる。しかしペイサーズは屈しなかった。ハリバートンとTJ・マッコネルがテンポを作り、マサリンとオビ・トッピンは長時間の出場でも強度を落とさず、シアカムは勝利への執念をむき出しにした。最後はハリバートンのアシストを受けたシアカムの3ポイントシュートで決着。ペイサーズが135-132で、王者セルティックスに今シーズン初めての黒星を付けた。

「ほとんどの時間でリードしていたから、オーバータイムになればネガティブな気持ちになるものだ。だけど、今回はそうじゃなかった。これはチームにとって大きな成長だと思う」とハリバートンは語った。

勝因は57-51で上回ったリバウンドだろう。今シーズンここまでリバウンドではリーグ最下位で、指揮官リック・カーライルは試合前にリバウンドの練習を選手たちに課したと言う。「NBAでリバウンドの練習をするチームはないかもしれない。だが我々の弱点は明らかにリバウンドで、何とかしなければいけないとのメッセージだった」

ターナー抜きでリバウンドの不利は明らかだったが、そこで奮闘したのはシアカムであり、ベンチから出たマサリンだった。今シーズンは開幕から不調続きでプレータイムも減っていたマサリンだが、この試合では43分の出場で30得点11リバウンドと大活躍。「リバウンドは意識だけの問題だと思っている。ディフェンスも向上させられた」とマサリンは言う。

そして、ゲームウィナーとなる3ポイントシュートを決めたシアカムは、そのプレーではなくオーバータイムのディフェンスについて語りたがった。波に乗っていたセルティックスのオフェンスを、延長の5分間ではフィールドゴール9本中2本成功に抑えた。「全員で団結したからできたことだ」とシアカムは言う。「カンファレンスファイナルでは4戦全敗に終わったけど、そのうち3試合はこういう展開で、自分たちのつまらないミスで負けたことを思い出した。同じ状況に身を置き、違う結果を出すことは、僕たちにとって最高の学びになる。今日勝てたのは成長の証だ」

シアカムはこう続けた。「長いシーズンには良い時期も悪い時期もあるけど、悪い時に落ち込むんじゃなく全員で励まし合って前に進んでいきたい。そうやって4月、5月、6月に最高のバスケを見せたいんだ」