悔しい結果となった大黒柱のラストイヤー
川崎ブレイブサンダースを、そして日本代表を支えたニック・ファジーカスの引退宣言から始まった2023-24シーズン。勝率は50%を超えたものの、惜しくも2ゲーム差でチャンピオンシップ(CS)出場を逃した。
スタッツから見える要因はディフェンス効率の低下だと思われる。ディフェンシブレーティング(100回攻撃された場合の平均失点)はリーグ13位(109.12)、被3ポイント試投割合はリーグワースト5位(41.17%)という数字。それ自体はチーム戦略なので問題ではないが、被決定率がワースト9位(34.5%)、アウェイゲームに限定するとワースト2位(36.24%)と厳しい戦いを強いられていた。
若干の低下は見られたものの、ホームゲームにおいてはリーグトップ8のディフェンス効率を記録していた点については素晴らしい結果だったと思う。今シーズン、3ポイントシュートを防ぐ方向に舵を切るのか注目だ。
スモールラインナップを選択したロネン・ギンズブルグHCのねらい
ファジーカスの引退、藤井祐眞の群馬移籍と2大エースの退団に直面した今シーズンの川崎は、キャプテンの篠山竜青の言葉にあるように「変革、再建のために舵を切っている」状態である。
まずは直近2年でラトビア・エストニアリーグを連覇しているロネン・ギンズブルグヘッドコーチを招聘した。ゴール下を主戦場とする選手としては、ウィングスパンが長く機動力のあるサッシャ・キリヤ・ジョーンズを獲得。登録はパワーフォワードであるもののプレースタイルは明確にスモールフォワードであるアリゼ・ジョンソン、ハンドラー兼シューターのマシュー・ライトも新加入し、機動力重視の戦略へ明確にシフトしている。
コートを広く使ったオフェンスと、人数とチーム戦略でインサイドを守るギンズブルグ新ヘッドコーチのバスケットに適したロスター作りができていると言えるだろう。
スタッツ
予想スタメン
3ポイントシュートを打てる4人を、プレーメーカーであるベテランポイントガードが率いる形を予想した。ジョンソンの個人で得点する能力が高いため、フィット次第ではあるがアレンとジョンソンの入れ替えがあるかもしれない。所属選手一覧
『獲得FP(ファンタジーポイント)チーム1位選手』
※FP(ファンタジーポイント)は、選手の活躍度合を計る指標となるポイント。各選手が実際の試合で記録した成績に応じて算出される。ロスコ・アレン(平均26.5分出場、15.0得点、4.8リバウンド、2.4アシスト) 昨シーズンは帰化選手のファジーカスとオンコートした都合上、スモールフォワードのポジションでの出場が多く見られたが、今シーズンはラインナップ上パワーフォワード、いわゆる『ストレッチ4』としての活躍が見込まれる。本数こそ少なかったものの高確率な両コーナーからの3ポイントシュートを放つ機会も多く見られるだろう。左ウイングからの3ポイントシュートも高確率であるため、左コーナーにポジショニングしたときは要注目だ。
【新加入選手】
アリゼ・ジョンソン(平均20.4分出場、14.3得点、6.6リバウンド、2.9アシスト) プエルトリコリーグで11試合、韓国リーグで64試試合プレーし、安定した得点力を記録。得点期待値(その選手で攻撃が終わった場合に獲得できる平均得点)が1を超える貴重な選手だ。ゴールまで1対1のスペースを作り出せれば、鋭いドライブと強い体幹を利用してファウルを受けながらスコアすることができる点取り屋。プエルトリコリーグでの11試合においては平均4.7本の3ポイントシュートを試投し、決定率34.6%。シューターとしてのポテンシャルも高い。
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