ジョエル・エンビード

現行契約と合わせて5年間で約450億円の年俸を得る

今オフに最も精力的に補強を行ったセブンティシクサーズの『仕上げ』は、ジョエル・エンビードとの契約延長だった。クラブから発表されたのは複数年契約の締結のみだが、『The Athletic』はその詳細を報じている。

両者の間には2021年の夏に結んだ4年2億1300万ドル(約320億円)の契約があと3シーズン残っていたが、この最終年を破棄した上で新たな3年1億9290万ドル(約290億円)の契約に合意した。現行契約があと2シーズン残り、2026年から今回締結した新たな3年契約が始まる。最終年はプレーヤーオプションとなるが、2028-29シーズンまでの5年間で彼は3億ドル(約450億円)の年俸を得ることになる。

エンビードは契約書にサインしている自身の写真をSNSに投稿し、そこにこんなメッセージを綴っている。「フィラデルフィアは僕の故郷であり、残るキャリアはここで過ごす。このコミュニティと、僕と家族に与えてくれたすべてを愛している。まだやらなければならないことは多い。君たちに相応しいのは優勝であり、僕らはまだ始まったばかりだ」

2014年の1巡目3位でシクサーズに指名されたエンビードは、ケガをした状態での指名だったためにデビューが2016-17シーズンまで遅れたが、それから8シーズンをシクサーズに欠かせない大黒柱として過ごしてきた。213cmの高さと屈強なフィジカルとともに高いスキルも備えたセンターはNBAでも希少な存在だ。

両者の契約延長には何の不思議もない。シクサーズはロスターのほとんどを入れ替えたが、エンビードは柱であり続ける。エンビードはドラフトから自分を信じ続けたクラブが、自分のためのロスターを整えてくれることに感謝し、今度は自分がチームを勝たせる番だと意気込んでいる。

これまでのシクサーズはあまりにもエンビードに依存してきた。それが彼のモチベーションになってきたメリットもあるが、ただでさえケガを抱えてNBAにやって来て、ケガと向き合いながらプレーしなければならない彼には重い負担となっていた。今回のオフはサラリーキャップの新ルール導入でライバルが補強に慎重になる中、シクサーズはフリーエージェント市場の目玉であるポール・ジョージの獲得に成功。タイリース・マクシーもチームの中心を担える選手へと成長したし、サポートキャストも充実。カイル・ラウリーのようにエンビード以上に経験のあるベテランの存在も勝負どころでモノを言うだろう。

トレーニングキャンプ開始まであと約10日。シクサーズは新シーズンに向けたすべての準備を完了させて、この時を迎える。