「ベスト4は球団にとってすごく大事なステップです」
Jr.ウインターカップ2024-25は大会3日目を迎え、男女とも3回戦とベスト8のダブルヘッダーが行われた。琉球ゴールデンキングスU15は、Bのユースチームでは唯一となる4強入りを果たした。
琉球U15はベスト8️でサンロッカーズ渋谷U15と対戦。試合の立ち上がりトランジションから得点を重ねて第1クォーターで2桁のリードを奪って主導権を握る。その後、SR渋谷にアジャストされファストブレイクが出せなくなると追い上げを許し、第3クォーター終盤には1ポゼッション差に詰め寄られる。それでもここでディフェンスで我慢して流れを引き戻し、最後までリードを維持することでSR渋谷を53-43で振り切った。
これで琉球U15は明日、ベスト4で飛び級のU18代表入りを果たした大器、白谷柱誠ジャックを中心とした大本命の四日市メリノール学院中と対戦する。
琉球U15の末広朋也ヘッドコーチは、「Jr.ウインターカップのベスト4は球団にとってすごく大事なステップです。メリノールと試合をやるために頑張ってきました。日本代表になりたい選手たちが多いので、ジャック選手との対戦は楽しみです」と語る。
「選手が自分で勝ち負けをつけられるように意識」
U15世代を代表する名将である末広コーチは沖縄県宮古島の出身。2011年から18年まで日本代表のテクニカルスタッフ務め、名古屋ダイヤモンドドルフィンズU15のヘッドコーチとして結果を残してきた。昨年から琉球にユーススタッフとして加わり今シーズンからU15を率いている。
「育成の考え方は変わらないですが、身体能力が高いと言われている沖縄の子供たちに僕の経験を試した時、どんな選手が育成できるのか楽しみです。今も毎日試行錯誤して、一日も無駄にしないように育成を研究しています」
こう語る末広コーチは、「選手たちが将来、日の丸を背負いたい、プロになりたい希望を持っているので、そこから逆算して育成しています」と続ける。これまでの経験から、個で打開する力を持ち、戦術理解力に優れた選手を作り出すことを重視する。
「幸いにも7年間、日本代表スタッフとして世界のバスケを見てきて、日本人選手のアタックメンタリティー、IQをもっと鍛えたいと感じました。U15の年代でも誰かに助けてもらうのではなく1対1で打破する、次のカテゴリーでU18や部活チームに上がってもヘッドコーチの指示に反応できるようにIQも鍛えていくのが大事です」
末広コーチは大前提として「すべてのゲームで、選手の成長の邪魔をしないことが根底にあります」と強調する。「何か作戦を伝える時、変更することで選手が迷ってプレーが止まったり、僕の指示によってやりたいプレーができなくなり、後悔することがあってはいけない。選手が自分で勝ち負けをつけられるように意識しています」
この『選手に自分で勝ち負けをつけさせる』は、今回のベスト8においても重要なテーマだった。末広コーチはこう語る。「SR渋谷の山野井皓選手、岸歩武選手はBリーグのユースでトップクラスのガードと言われています。ウチの宮里俊佑、越圭司はU16の日本代表を目指す上で、彼らよりも自分たちが代表のガードに相応しいと見せつけたい試合でした。そのチャレンジの背中を押すことを意識しました」
「Bリーガーを輩出する都道府県で沖縄県を一番に」
琉球のU15チームとしては、将来的にトップチームで活躍する選手の輩出が最重要事項となる。しかし、コンスタントに強豪であり続けている琉球のオファーを勝ち取る難易度は高く、末広コーチはより大局的な見方として沖縄バスケ界のさらなる発展も大切にしている。「僕の野望はBリーガーを輩出する都道府県で沖縄県を一番にすることです。今は神奈川県に負けているので、10年後に抜かしていたいです」
そして明日のメリノール学院中との試合に向けて、「キングスはリバウンド、ルーズボールが絶対的な強みで、今日の僕たちもそこに集中していました。そこに子供らしさ、中学生らしさということで超高速バスケを掲げています。メリノールにもその部分で挑戦していきたいです」と意気込みを語った。
琉球らしさ、そこにガードの個の打開力を生かしたトランジションという沖縄らしさを押し出したバスケで、U15カテゴリーの常勝チームを相手にどんな戦いを見せるのか。トップチームと同じく、自分たちより大きな相手に気持ちで屈せず真っ向勝負で挑む『アイランドメンタリティー』を見せてもらいたい。