強力な外国籍補強とシューターの加入に見えるチームの狙いは?
クラブを3シーズン率いた藤田弘輝ヘッドコーチの退団に伴い、落合嘉郎アシスタントコーチがヘッドコーチに昇格して新シーズを戦う仙台89ERS。チームスローガンである『Grind!』が示す通り、粘り強いプレーとハードなディフェンスは継承されるだろう。
2ポイントシュートを得点源としていたラショーン・トーマス、ヴォーディミル・ゲルンの2名が退団し、3ポイントシュートを得意とするネイサン・ブースと契約継続。同じく3ポイントシュートを得意とするスタントン・キッドと、パリ五輪ブラジル代表のクリスティアーノ・フェリシオをインサイドの要として補強した。
日本人選手に目を向けてみると、コーナースリーの決定率が高い石橋侑磨、半澤凌太といったシュータータイプの若手選手、そしてアシスト能力が高いベテラン多嶋朝飛の加入など3ポイントチームへの転換を感じさせるロスターとなっている。プレータイムを欲している若手を集めてハードワークする仙台のバスケットを継承しつつ、新ヘッドコーチのもと新しい方向性を見出しているチームを楽しみに見ていきたい。
スタッツ
予想スタメン
新加入選手はリーグ序盤はフェリシオのみスターターと予想。3ポイントシュートの決定率が高い渡辺翔太は、昨シーズンを踏襲して先発出場するだろう。
所属選手一覧
『獲得FP(ファンタジーポイント)チーム内1位選手』
※FP(ファンタジーポイント)は、選手の活躍度合を計る指標となるポイント。各選手が実際の試合で記録した成績に応じて算出される。
スタントン・キッド(平均31.5分出場、20.4得点、6.1リバウンド、3.4アシスト)
昨季は10試合で負傷離脱し、いわゆる「上振れ」が起きていたと推測できるが、秋田ノーザンハピネッツに所属していた2022-23シーズンにおいても全60試合スターターとして優秀なスタッツを残している。得意とするのは、総ショット本数の半分を占める3ポイントシュート。両コーナーからの決定率は左右ともに40%を超えている。ハンドリング能力も高く、キャッチアップショットを打てなかったとしても、ドリブルでスペースを確保してプルアップスリーを決めることができ、ステップバックスリーもスキルセットとして持っている。昨シーズン、仙台が苦しんだ3ポイントシュートに関するスタッツの向上に向けて布石を打った補強と言えるだろう。
【若手選手】
石橋侑磨(平均16.0分出場、5.3得点、1.4リバウンド、0.5アシスト)
熊本ヴォルターズから加入した元U20日本代表候補。24歳と若手ではあるものの、B2で着実に出場試合数とプレータイムを伸ばし、昨シーズンの熊本では55試合出場、B2プレーオフにも全試合出場している。トップとウイングの3ポイント決定率こそ低めではあるものの、左コーナーは34%、右コーナーはなんと46.3%。3ポイントシュートの引力が強いためカウンタードライブも有効で、ペイントエリア内決定率は56.7%を誇る。B1初挑戦の今シーズンは、B2と比較してハードになると言われているB1のディフェンスをかいくぐることができるのかに注目だ。
【新加入選手】
クリスティアーノ・フェリーシオ
2015-16シーズンから2020-21シーズンまでブルズでプレーし、252試合に出場したベテラン。ブラジル代表としてパリ五輪にも出場した。昨シーズンはスペインのCB Granadaで34試合出場平均20分出場、10.2得点、5.4リバウンド、0.9アシストを記録。ピック&ロールのロールマンとして、オフボールスクリーンからのカットインなどのシチュエーションにおいては、クイックロールを多用することでアスレチック能力をより強く使いながら確実にスコアすることができる。チームが3ポイント試投数を増加させる戦略を取ると仮定した場合、スペーシングが広くなることが予想されるためゴール下への攻撃も行いやすくなるだろう。
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