ノビツキーも「彼は正真正銘のスコアラーだ」と絶賛
兄は弟の成長に気づかず、弟も知らず知らずの内に兄を追い抜いている──。この現象こそ、現在のカリー兄弟に起こっていることだ。
NBAオールスター2017以降、マブスのセス・カリーは平均22.6得点、フィールドゴール成功率57.8%、3ポイントシュート成功率53.3%という見事な成績を記録。兄でありウォリアーズのエースでもあるステフィン・カリーは、平均得点でこそ25.9と上回っているものの、フィールドゴール成功率43.1%、3ポイントシュート成功率31.8%で弟を下回っている。
起用法も、チームメートのタイプも、それにチームの戦術も異なるため、単純に数字だけを比較して優劣を決めるのは難しい。しかし、2年連続シーズンMVPを受賞した兄と比べて、弟のセスが昨シーズンまでNBAで定位置を確保できるかどうかの立場だったことを考えれば、大躍進と言える。
もっとも、マブスで一緒に戦う仲間で、先日NBA史上6人目の通算3万得点に到達したダーク・ノビツキーは、セスのシューターとしての才能を高く評価している。ノビツキーは先月『dallasnews.com』に対し「セスは非常に自信を持っている若手だ。そういう姿勢の持ち主だから、誰とマッチアップしても点を決められるはず」と語った。
「彼のプレーを長く見てきた僕には言える。彼は正真正銘のスコアラーだ。彼の活躍をうれしく思うよ」
シーズン平均の12.9得点を大きく上回る現在の好調をどれだけ維持できるかは分からないが、セスの活躍とともにチームの状態も上向き、オールスター明けは5勝2敗と勝ち越し、27勝36敗。西カンファレンスでの順位を10位にまで浮上させ、8位ナゲッツに1.5ゲーム差に迫るなど、プレーオフ進出の可能性もまだ残されている。
もしマブスが西の8位でプレーオフに進出すれば、1回戦ではウォリアーズと対戦する可能性が高い。2015年にウォリアーズからも獲得オファーがありながら「ステフの影に隠れたくはない」との理由でキングスと契約した背景があるだけに、ポストシーズンで兄弟対決が実現すれば、大きな話題になるはずだ。