昨シーズンのアルバルク東京は過去最高となる48勝12敗でレギュラーシーズンを終えたが、チャンピオンシップ(CS)のクォーターファイナルで、琉球ゴールデンキングスに最後までもつれる激闘の末1勝2敗で敗れた。2017-18、18-19シーズンにBリーグ連覇を達成して以降もA東京はリーグ屈指のタレント力を有する強豪であり続けているが、ファイナルの舞台からは遠ざかっている。王座奪還に向けコアメンバーが揃って残留する継続路線を選択した中、チームの底上げの鍵を握るのが新戦力の大倉颯太だ。
大倉は中学3年時、地元の石川県布水中学をエースとして日本一に導いて以降、北陸学院高校、東海大学でも、常に世代トップを走る活躍を見せていた。しかし、千葉ジェッツ加入後は2度の大きな故障もあって、思うような結果を残せず、昨シーズンのチャンピオンシップでは5試合で合計4分57秒の出場時間に留まっていた。この悔しさを晴らし、学生時代の輝きを取り戻すことができるのか。強い決意を持って移籍を選択した大倉に今シーズンの意気込みを聞いた。
A東京の印象「選手一人ひとりが、スタイルにコミットしている感じがすごく伝わっていました」
――A東京に移籍した決め手を教えてください。
環境を変えたいことが1番にありました。そしてアルバルクさんは歴史あるチームで強いカルチャーが根付いています。2年前から(デイニアス)アドマイティスヘッドコーチに代わってバスケスタイルもすごく好きでした。そんな中でオファーをいただき、自分に合うと思って移籍を決めました。
――アドマイティスHCのバスケットボールのどういう部分が好きですか。
ゲームを全部コントロールする感じがすごく好きです。対戦相手としてはそのペースを崩すことができれば自分たちの流れになりますが、ペースに飲み込まれると抜け出せない感触がありました。そして、選手一人ひとりが、スタイルにコミットしている感じがすごく伝わっていました。
――大倉選手は1番、2番をこなせるコンボカード的な役割もできると思います。アルバルクにおける自身の役割をどのように捉えていますか。
こだわりみたいなものはなく、ヘッドコーチの求める役割に対し、いかに遂行力高くプレーできるかがベースにあります。その上で、(司令塔のテーブス)海の負担を減らし、繋ぎだけではなく、僕自身でチームに良いリズムを作れるようになりたいです。それを自分はできると思っています。「アルバルクでやりたい」という思いを表現して、絶対にチームの力になれる自信はあります。また、ハンドラーをやりたいですし、シュートを積極的に狙っていきたいと思っています。
「プレータイムは自分の強みを出せれば自然とついてくると思っています」
――A東京はリーグ屈指の選手層を誇るチームです。純粋にプレータイムを欲したら、他の選択肢もあったと思います。
(プレータイムを重要視するのは)僕の中ではないかなという感じでした。複数のチームの方たちと話した時、自分に合っているなと感じたのがアルバルクでした。環境面もありますが、GMの思い、チームの目指している場所と、そこに到達するためのプロセスをどれだけ大事にしているのかを含めて、アルバルクが自分にハマりました。プレータイムに関しては、自信過剰ではないですが、自分の強みを出せれば自然とついてくると思っています。だから、何分出るとかはあまり気にしていないです。
――昨シーズン、特に終盤はプレータイムに恵まれずチャンピンシップはほぼ出番がありませんでした。どういう気持ちでしたか。
試合に出たらやれることはあるのに、それを表現することができないことに対するストレスはありました。コミュニケーションがうまく取れていなかった部分もあるかと思いますが、チームに貢献できる準備はできていて、練習ではやれていた手応えはありました。だからこそ、コートに立てないストレスが一番でした。
――千葉Jでは在籍中に複数のタイトルを獲得しましたが、主力としてプレーしてつかんだものではありません。例えば、東海大でインカレを優勝した時と達成感に違いはありましたか。
ありますね。チームファーストでやってきましたし、ベンチの支えも大切です。ただ、試合に出て活躍することが自分の仕事の多くを占めると思っています。コートにあまり立てなかったことへの悔しさはもちろんありました。
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