橋本芽依

勝敗のポイントは「試合を通したみんなの強い気持ち」

京都精華学園は長らく主力を務めた選手が卒業してフレッシュな顔ぶれとなったが、『勝者のメンタリティ』は受け継がれていた。福岡インターハイ3回戦で桜花学園と対戦する大会の正念場、どちらも互いを意識しすぎて試合序盤は重い展開に。先に固さの取れた桜花学園がスペースを上手く活用して放つジャンプシュートが決まり始め、第1クォーターは22-15と先行する。

それでも京都精華学園も第2クォーターに立ち直り、191cmのユサフ・ボランレ・アイシャットの高さを生かしつつ、ガード陣がブレイクを出して押し返し始める。そして後半に入って桜花学園の足が鈍ると、京都精華学園が一気に流れを持っていく。山本綱義ヘッドコーチは「選手たちが『慌てずに自分たちのバスケをやろう』と声を掛け合っていたので、私からの指示は『最後まで走り抜け』だけでした」と話す。

ユサフがゴール下で高さだけでなくディフェンスを巧みにかわすフットワークを見せ、ダブルチームを受ければキックアウトで3ポイントシュートのチャンスを作り、京都精華学園がリードを広げていった。

それでも52-44と京都精華学園のリードで迎えた最終クォーター、ファウルトラブルの呪縛が解けた桜花学園のセンター、白石弥桜がユサフのゴール下を止め始める。こうして食らい付く桜花学園に対し、京都精華学園はファウルがかさんで残り3分半でチームファウルが5に到達。これでユサフが思い切ったプレーに行けなった京都精華学園に対し、金澤杏のフリースローで桜花学園がリードを奪い返した。

そんな息詰まる熱戦の最後は、63-64と1点ビハインドで京都精華学園が迎えた最後の攻め。託すのはもちろんユサフで、徹底的なマークを受けながらも残り5秒で逆転のゴール下をねじ込んだ。山本ヘッドコーチは言う。「選手たちの結束の力です。僅差でコーチの指示ではなく、選手たち自らに『行ける、頑張ろう!』という思いがあったことで、ああいう結果になりました」

京都精華学園

「もう今から切り替えて明日もチーム全体で挑む」

大熱戦を65-64で制した京都精華学園では、ユサフが22得点と活躍。それでもガード陣も桃井優が13得点、橋本芽依が12得点、林咲良が10得点とバランス良く得点を繋いだ。試合後、橋本はこう語る。「チームの目標は3連覇ではなく、全員一丸で精華のバスケをすることです。今大会の大きな山場が今日の試合で、一人ひとりが自分の持っている力を発揮してチームで勝てました。校長先生(山本ヘッドコーチ)やスタッフの方々に支えていただいて、今日ようやく一歩目が踏み出せたと思います」

終盤にひっくり返される苦しい試合展開を勝ち切れたポイントを、橋本は「最後はボラ(ユサフ)が頑張って決めてくれましたが、それまでに一人ひとりがそれぞれのポイントを地道に少しずつやってくれたように、試合を通したみんなの強い気持ちだと思います」と語る。

3回戦での桜花学園という大きなヤマを越えたが、まだ大会は折り返し地点。橋本も油断はしておらず、最後の最後まで走り抜くつもりだ。「桜花さんに勝てた気の緩みが出れば明日が危ないので、もう今から切り替えて明日もチーム全体で挑めるように準備します」