サシャ・ベゼンコフ

「ここでの僕は100%過小評価されている」

アレクサンダー・『サシャ』・ベゼンコフは、2017年のNBAドラフトでネッツから57位指名を受けた後もヨーロッパでのプレーを続けており、昨シーズンにオリンピアコスでユーローリーグMVPを受賞したのを機にNBAへと挑戦した。彼がヨーロッパに残っている間に、彼の交渉権はキャバリアーズへ、そしてキングスへと譲渡されていた。

ヨーロッパとアメリカのバスケが全く異なるものだと知るベゼンコフは、NBA挑戦にずっと慎重だったが、その彼を乗り気にさせたのはキングスだった。「ヘッドコーチもアシスタントコーチも、GMもアシスタントGMも、何度も僕に会うためにギリシャまで来てくれた。たくさんの会話をして、来たるべきシーズンの準備を進めてきた」と、キングス入団当時のベゼンコフは語っている。

しかし、NBA挑戦は期待とは大きく異なるものとなった。ベンチスタートからNBAのリズムに慣れて本領を発揮するはずが、リズムは一向につかめず、パワーフォワードの3番手ないしは4番手が彼の立ち位置に。指揮官マイク・ブラウンからは「他の選手と同じように、プレータイムは勝ち取らなければいけない」とプレッシャーをかけられたものの上手くいかず、1月下旬と2月上旬に立て続けに足首を捻挫。シーズン終盤に復帰したが、すでにチームに彼の居場所はなかった。

ケガをしていた3月中旬の時点で彼は、スペインのメディアに対して「NBAへの適応は簡単じゃない。そのチャンスが与えられない」と語っている。バルセロナで活躍していた時期の旧知の記者相手に、彼はポロリと本音を漏らした。「ここでの僕は100%過小評価されている」

結局、彼のNBA1年目は42試合の出場すべてがベンチから、平均12.2分プレーして5.4得点、2.3リバウンド、0.5アシストと期待外れの結果に終わった。ただ、キングスが彼に失望している以上に、彼はキングスに失望している。彼がアメリカを離れるとすぐ、「ベゼンコフはキングスでプレーを続けたくない」との噂が浮上した。ヨーロッパに戻れば彼は今もスター選手で、チャンスが与えられないことは理解されない。

そして彼は母国ブルガリアの『SPORT24』に対して、今の率直な気持ちを語った。「NBAでの最初のシーズンは狂気じみていた。ホテルからホテル、アリーナや練習場へと目まぐるしく移動し、試合をしてスカウティングレポートを読み、そしてまた移動して試合をする。すべてを覚えるのは大変で、精神面での強さが求められる」

彼のNBAでの苦労話はコーチ批判へとエスカレートしていく。「コーチは選手に対して誠実であるべきだ。選手は常にコーチに正直に相談する。その答えがコロコロ変わるようでは選手は迷い、チーム内に対立が生まれる」

「僕はバスケが大好きで、そのために大金をもらっているのだから、プレーしたい。どの選手も同じことを求めるから、アスリートは取り扱いが難しい。でも、だからこそコミュニケーションは大切なんだ。僕らはコーチを信頼する。だからコーチも選手を信頼すべきだ。良いチームはそうやって作られていく」

ベゼンコフは3年契約の1年目を終えただけで、「もうNBAではプレーしたくない」と言っても契約に縛られる立場だ。ただ、チームに不信感を持つ選手を残すことはキングスにとってもプラスにはならない。キングスは和解の道を探るよりも、トレードか契約解除を探ることになるだろう。