ザイオン・ウイリアムソン

「この1年でチームが見せた成長には意味がある」

ペリカンズは49勝33敗でプレーイン・トーナメントに回り、ここで絶対的なエースであるザイオン・ウイリアムソンをケガで失った。第8シードでプレーオフには進んだもののザイオンは不在のまま。ケガ明けのブランドン・イングラムではサンダーの勢いを止められず、スウィープでの敗退を喫した。

それでも、シーズン最後の取材に応じたザイオンの表情は明るかった。「結果は残念だけど、この1年でチームが見せた成長には意味がある。僕自身にもまだまだ伸びしろがあることが分かった」

ザイオンがケガをしたのはプレーイン・トーナメントのレイカーズ戦だった。残り3分で同点シュートを決めた際に右足のハムストリングを痛めたのだが、それは彼にとってシーズンハイとなる40得点目。ザイオンにとってレイカーズ戦での活躍には特別な意味があった。インシーズン・トーナメントの準決勝でレイカーズと対戦したペリカンズは、89-133と大敗を喫している。この時のザイオンは13得点しか奪えなかった。得点以上に、思うようなプレーができないことで消極的になってしまい。フィールドゴール試投数はスタメンの誰よりも少ない、ベンチから出たトレイ・マーフィー三世よりも少ない8本。フリースローさえ6本中5本を外す散々な出来だった。

だが、それがザイオンにとってターニングポイントとなった。「あの大敗は間違いなく僕の責任だった。チームから必要とされているのに、僕はそこから逃げてしまった。あの時ほど自分を変えたいと思ったことはない。でも、その後にどんな変化があったかを考えれば、あの経験は僕にとって必要なものだった」

今シーズンからチームのメディカルスタッフが一新され、ザイオンのコンディション管理のアプローチは変わった。屈辱のレイカーズ戦を機に身体強化を加速させ、夏から取り組んできた新たな武器、プルアップジャンパーにもより熱心に取り組んだ。彼はこれまでで最多の70試合に出場したが、ケガなく過ごせたことはリハビリに時間を取られず練習に打ち込めたことも意味する。相手ディフェンスをこじ開けて得点するダイナミックな動きはザイオンの代名詞だが、相手がゴール下を固める手前からプルアップが打てれば攻撃のバリエーションが増える。「結果は気に入っているよ」とザイオンは言った。

「今シーズンはバスケを楽しむことができた。自分に過度なプレッシャーを掛けることなくバスケに打ち込み、コートに立てたことが自信にもなった。最終的はケガをしてしまったし、最悪のタイミングだったからほろ苦い気分だけど、間違いなく正しい方向へ一歩を踏み出せたと思う。特別なチームになるにはもっともっと改善が必要で、ここをベースに来シーズンは次の一歩を踏み出して、今度こそプレーオフに出場したい」

70試合出場、31.5分のプレータイムで22.9得点、5.8リバウンド、5.0アシストというのが2023-24シーズンのスタッツ。ザイオンは笑顔でこう語った。「僕のベストはまだこれからだと確信しているよ」