将来については「正直、まだあまり考えていない」
プレーイン・トーナメントでキングスに敗れた翌日、ウォリアーズは2023-24シーズンを締めくくる会見を行った。思いがけず早く訪れたシーズン終了に誰もが失望していたが、メディアの関心はオフの動きに移っており、今シーズン限りで契約満了を迎えるクレイ・トンプソンに集中した。
2011年にドラフトで指名されてから、クレイはウォリアーズ一筋のキャリアを送ってきた。だが、新契約を結ぶことなくこの時期を迎えている。ウォリアーズは今のクレイに大型契約を提示するわけにはいかない。クレイにもプライドがあり、格安の契約を簡単に受け入れられはしない。他のチームが自分にどんな評価を下すのか、それを見てみたい気持ちもあるはずだ。彼が何を考え、どう動くかは、このオフシーズン最大の関心事の一つとなる。
「君の将来について」と質問されたクレイは「最初に今シーズンの話をしないのか? いっぱい試合をして、いろんなことがあったのに?」と苦笑を浮かべつつ、「正直、まだあまり考えていない」と答えた。
「この1年は浮き沈みが激しかったけど、僕個人もチームもできる限りの努力をして、可能な限りの勝利は手にしたと思う。今日は4月17日で、フリーエージェントは7月1日からだから、すぐ決断しなきゃいけないわけじゃない。少し時間がかかると思う」
キングスとの試合に敗れた直後、クレイはコートを去る前に立ち止まって周囲を見回していた。10本のシュートを放って無得点に終わった自分のパフォーマンスを振り返っていたのかもしれないし、ウォリアーズの一員としての最後の瞬間を噛み締めているようにも見えた。あの場面について彼は「鼻血が出そうだったので上を向いたんだ」と説明した。相手選手の肘打ちを顔面に食らっていた彼は、そこで思わぬ光景を見た。「そこにはファンの一団がいて、11番のユニフォームを着ている人も目に入った。そのことがうれしかったんだ」
「昨日はシュートが全く入らなかったけど、そういう日もある。1試合で結果を決めるのは7試合のシリーズとはかなり違って、そこで調子が狂ってしまったのかもしれない」
そして彼は、今シーズンの収穫として「プレーし続けたこと」を挙げた。「ずっと勝ち続けることはできない。それは人生において何をするにしても同じだ。今シーズンは個人的にいろいろあったけど、ほとんど欠場せずにプレーし続けたことが一番の収穫だと思う。ケガで何年か休んで復帰して、あれだけ試合に出るのは強い意志が必要だ。ケガやシュートスランプを乗り越えて戦い続ける。その意思の強さを学ぶことができた。77試合出場はキャリア平均には足りないかもしれないけど、それでもよくやったと思うよ」
スティーブ・カーも、ステフィン・カリーも、ドレイモンド・グリーンも、これまで多くの栄光をともに勝ち取ってきた全員が「クレイに戻って来てほしい」と語った。そして彼も同じ思いを抱いている。
「当たり前だけど、勝ち続けたい。ずっと勝ってきたんだから、そこから離れたくないという思いはある。もう一度優勝して、親指にも優勝リングをはめることができればいいね。とてつもない努力が必要だとしても、まだ手の届くところにあると思うんだ。それができたらキャリア終盤の数年が本当に幸せなものになる」