リッチマンHC「ベンチから出てきた選手がチームにエネルギーをもたらしてくれた」

シーホース三河はアルバルク東京との第1戦に69-57で勝利し、連敗を3で止めた。このA東京の57点は今シーズンの最少得点であり、三河のディフェンスがそれだけ機能していたことを物語っている。

A東京の指揮官、アドマイティスヘッドコーチはオフェンスの遂行力の低さを敗因に挙げたが、それは三河の激しいディフェンスが影響していたと認めている。「我々は遂行力が低く、ゲームプラン通りに遂行ができませんでした。三河さんは笛が吹かれないギリギリのところで非常にフィジカルにプレーしてきました。そこで我々のオフェンスが狂ったと思います」

三河は先発だけでなく、ベンチから出てくる誰もが高いインテンシティでプレーし、セカンドユニットになってもまったく強度が落ちなかった。だからこそ、ライアン・リッチマンヘッドコーチは具体的に名前を挙げ、セカンドユニットの働きを称賛した。「今日で言えば、ベンチから出てきた選手がチームにエネルギーをもたらしてくれたと思います。 長野(誠史)選手やシェーファー(アヴィ幸樹)選手、角野(亮伍)選手、彼らが非常にエネルギーをもたらしてくれて、流れを変えてくれたと思います」

約22分のプレータイムで8得点8アシスト(ゲームハイ)2スティールを記録した長野も「今までで一番良かった」と、チームとしての出来を絶賛した。「前半はロースコアで我慢の戦いが続きましたが、ディフェンスもハードにやり、そこからのファストブレイクも決まりました。最後の方は自分たちのシュートタッチが良くて入った部分もあるんですけど、我慢をし続けた結果で、ゲーム全体としても終わり方も今までで一番良かったのかなと思います」

A東京はここまで平均70.0失点(リーグ2位)で、ディフェンスチームとしての地位を確立している。そんな強者を上回る激しさを体現できたのは、上位チームとの連戦を落としていたことも影響していたという。「先週、宇都宮(ブレックス)さんに2敗したことで、今日の試合は選手全員の勝ちに行くって気持ちが強かったのかなと思います。これをスタンダードにできればどのチームにも勝てると思うので、さらに上に行きたいです」

長野誠史

流れを変える、今シーズン2度目の『技アリ』プレー

ディフェンスはもちろんながら、長野はオフェンスでも違いを生み出した。得点は8に留まったが、速攻でのバスケット・カウント、オフェンスが出詰まりとなった時のプルアップスリーなどインパクトは大きい。2連続で失点し点差を1桁に戻され、タイムアウトを取った直後には、エンドラインからのインバウンドパスをセバスチャン・サイズの背中に当て、ゴール下を決める『技アリ』のプレーを見せた。

「今シーズンは2回目なんです」と長野は笑顔で振り返ったが、リスクを伴うため強心臓でなければできないプレーであり、A東京の反撃の芽を摘む一撃だった。「正直、サイズ選手だったのでシュートを打つ瞬間はビビりながらでした。でも常に狙ってはいるし、的もでかかったので。相手のダメージもでかいですし、こっちとしては勢いが乗るタイミングだったのかなと」

昨シーズンの長野は出場した59試合中39試合で先発を務め、ともにキャリアハイとなる7.3得点、4.0アシストを記録するなど、オフェンス面での活躍が目立った。今シーズンは京都ハンナリーズから移籍してきた久保田義章に先発の座を奪われた形となったが、自身の役割は変わらないと言い、いかにチームに貢献できるかにフォーカスしている。

「(先発でも)どっちでもいいですし、やるべきことは変わらないと思っています。自分が出た時はハードにディフェンスをして、ファストブレイクが出せる時はしっかり走る。去年の方がバシバシ打っていたと思うんですけど、誰が今一番良いのかなどを考えながらコントロールしています。自分だけにはならず、チーム全体でっていうのが強いです」

中地区2位ながら、3連敗と足踏みをした三河。それでも、チームとしてシーズンハイのパフォーマンスで難敵を下し、チャンピオンシップへ大きな1勝を手にした。この試合をスタンダードにしつつ、より高みを目指すと長野は言う。「このままCSに行くためには、(サンロッカーズ)渋谷や川崎(ブレイブサンダース)との直接対決でしっかり勝たないといけないので、そこに向けてしっかりと準備していきます。自分たちの目標はチャンピオンシップに絶対に出て、その先の優勝だとチームのみんなで言っています。今日みたいな形で勝てるように、全員でコミュニケーションを取りながらチーム力を深めてやっていきたいです」