馬瓜エブリン

「すごく良いシーズンでしたし、とても良い経験をしました」

3月30日に開幕した『京王Presents Wリーグプレーオフ 2023-24』は、一発勝負のセミクォーターファイナル、クォーターファイナルを経て、今週末4月6日より2戦先勝方式のセミファイナルに突入。皇后杯で悲願の初優勝を果たし、22勝4敗の2位という成績でレギュラーシーズンをフィニッシュしたデンソーアイリスは、セミファイナルのENEOSサンフラワーズ戦が初戦となる。

3月18日に行われた共同記者会見にチームの代表として登壇した馬瓜エブリンは、「星は落としてしまったけど、リーグのレベルが上がっている中で、上位4チームをしっかり勝ち取ることができたのはすごく良かったと思います」とレギュラーシーズンを振り返った。

馬瓜は銀メダルを獲得した東京五輪後、『人生の夏休み』と称した1年間の休養期間を経てデンソーに新加入した。シーズンが始まった当初は「出られて10分とか15分くらいかな」、「どれぐらいチームの力になれるかな」と不安を感じていたと明かしたが、徐々にコンディションと試合勘を取り戻し、26試合全試合にスタート出場し、平均13.85得点、4.50リバウンドという好スタッツを挙げている。

また、馬瓜はチームのマインドを変えることにも貢献した。かつてはライバルとして、昨シーズンは第三者として見たデンソーの印象は「シャイなチーム」。強気に得点を狙いにいかなければならない場面でそれを発揮できないところがあると感じたとし、「去年のプレーオフではあとちょっとのルーズボールやリバウンドを取り切れない印象がありました」とも話した。

「チームの雰囲気を変えて、勝ち切れるチームにしたい」。そのような思いを持ってデンソーに加入した馬瓜は、自身の強みである明るいキャラクターとエナジーあふれる果敢なプレーを全面に押し出してチーム活動に参加するうちに、チームメートたちに変化を感じるようになったという。

「自分が強気なプレーを見せると、周りの選手たちも『自分たちもこういうプレーをしていいんだ』と考えるようになってきたと思います。シュートが入るたびにみんなで盛り上がったりすることも、今まではなかなか見られなかったことだと思うので、そこをみんなと一緒に表現できてすごく楽しいです」

馬瓜はこのように話し、「自分の経験やパッション、優勝するために必要なものを伝えられて、すごく良いシーズンでしたし、とても良い経験をしました」と、ここまでの復帰初年度を総括した。

セミファイナルで対戦するENEOSとの今シーズンの対戦成績は2勝1敗(レギュラーシーズンは1勝1敗、皇后杯ファイナルは勝利)。プレーオフ初戦で当たるには非常にタフな相手だ。馬瓜は今シリーズのキーマンになる選手として木村亜美と赤穂ひまわりの名前を挙げている。

「木村選手はこの1年ですごく成長したと思います。A代表に初招集されて、他のチームのガード陣と一緒にやりながら、自分の足りないところ、もっと伸ばしたいところをたくさん感じ取ったんじゃないかと思うし、皇后杯も素晴らしい活躍をしました。プレーオフでも、プレーメーカーとして、そして自分自身も点を取る立場として、すごく注目したいです」

髙田真希とともに大黒柱を担う赤穂については、次のように語った。「赤穂選手はキャプテンとしてチームを本当にまとめてくれていましたし『チームを引っ張っていくんだ』っていう気持ちがすごく感じられました。私もしっかりとサポートしていくので、思い切ってやってほしいです」

ちなみに、「チームで成長したと感じる選手は?」という問いに木村の名前を挙げた馬瓜は、「あともう1人挙げるとしたら」と自身もアピール。「ちょっとだけ成長したかな。一応デンソーではルーキーなので、勝手に思っています」と言って笑った。デンソーに新しい風を吹かせた馬瓜は、プレーオフの舞台でその勢いをさらに強め、皇后杯に続く『冠』をチームにもたらせるだろうか。

デンソーvsENEOSは4月6日に武蔵野の森スポーツプラザで開催される。7日の第2戦を終えて勝敗が決しない場合は8日に第3戦が行われる。