ブランクを感じさせず、攻守で存在感を発揮
3月8日、『EASL Final Four 2024』のニュータイペイキングス(P.LEAGUE+・台湾)戦で千葉ジェッツの原修太がコートに戻ってきた。
原は『FIBAアジアカップ2025予選 Window1』の直前強化合宿に参加したものの、グアム戦、中国戦はともにロスター外となり、バイウィーク明けの直近の3試合も欠場していた。この東アジアの頂点を決める大一番で復帰した原は32分29秒のプレータイムで13得点4アシストを記録。同点で迎えた最終クォーター残り2分19秒には、試合の流れを大きく引き寄せるディープスリーを沈めた。苦戦しながらも92-84で勝利したこの一戦を原はこのように振り返った。
「個人的な話をすれば、2月からコンディションが全然整わなくて、代表合宿だったり試合が再開してからも休んでいたので、この大事な一戦で最後までコートに立ってチームに貢献できたことはすごくうれしいです。ただ単純にバスケットボールを楽しんでいる雰囲気があって、良いプレーをしたらどちらも盛り上げてくれる。ホームなのかアウェーなのか分からないような感じが良い試合に繋がったんじゃないかなと思います」
Bリーグの過密日程に加え天皇杯やEASLなど、千葉Jはリーグで最もタフなシーズンを過ごしている。さらに原は代表活動にも参加しているため、その疲労度は特に大きいだろう。実際にコンディション不良だったことを明かしたが、試合勘を取り戻す意味でもこの試合が良い機会になったと原は言う。
「ここで調整って言ったら失礼かもしれないですけど、僕は休んでいたので(笑)。1カ月ぶりぐらいに実戦をやってみて、良い意味で客観的にチームを見れていました。みんながイライラしている時にまとまって、ファウルが鳴らないのはしょうがないからディフェンスで我慢しようとみんなに伝えていました」
第3クォーター終了時点で千葉Jの3ポイントシュート成功率は25%(6/24)と、富樫勇樹以外の選手に当たりが来なかった。原も前半はパスを呼び込んでもボールが来ず、リズムに乗れない中でフィジカルなドライブを選択し、第3クォーターまでは3本すべての長距離砲を失敗した。それでも最終クォーターには大きなダメージを与える2本の3ポイントを決めた。ボールの違いにより、シュートタッチに影響が出る選手が多かったが、原は「よく分からないパスが来た方が入るので(笑)」と持論を展開した。
「ボールにグリップがあり、引っかかりやすいとクリス(クリストファー・スミス)と話していました。僕はあまり感じなかったですが、ドリブルは少ししやすかったかなと。正直、自分で言うのもなんですけど、変なシュートも入ったりするので、僕はボールとか相手のディフェンスに関係なく、自分のリズムで打てればいいんです」
外国籍選手をシャットアウト「やらしてやっている感が僕の中ではある」
ここまでオフェンス面に触れてきたが、ディフェンス面でも原の存在感は光った。千葉Jは最終クォーターに相手のエースガードであるジョセフ・リンにゼイビア・クックスをマッチアップさせたため、原が強靭な外国籍選手と対峙することになった。それでも原は自身より横も縦も大きい相手にまったく押し負けず、駆け引きでも上を行きシャットアウト。外国籍選手に対してミスマッチにならない原がいたからこそ、この戦術が機能した。
「本当に些細なことかもしれないですけど、相手に簡単に持たせなかったり、そういうディフェンスができたんじゃないかなと思っています。相手の外国籍選手について、イメージ通りに動けたのは収穫です」
また、周りがファウルのコールにフラストレーションを溜める中、冷静にプレーし続ける姿が印象的だったが、前半に密着マークを嫌がった相手から2度オフェンスファウルを誘発したことも影響していたようだ。
「演技しているわけじゃないですけど、相手が1回押してきた後に2回目に強く押してくるので。なんというか、やらしてやっている感が僕の中であるんですよね。取ってなかったら冷静でいられなかったかもしれないですけど、チャージングを2個取っているので。(ジョン)ムーニーとかは(接触が)多いですし、それで鳴らなかったらムカつきますよね。5人全員がイラついていたらダメですし、僕はオフェンス面でイラつくことがあまりなかったので」
特別なことを特別ではないようにサラッと言えるところが心強いが、富樫もそんな原の活躍を喜んだ。「ここ数試合を欠場して、今シーズンはまだ去年のような感じでプレーできていない中、こういう大きなゲームでしっかり活躍してくれました。オフェンス、ディフェンスともに彼の存在感というのはこのチームで大きなものがあるので、コートにいると頼もしいです。長く一緒にやっているので2人一緒に活躍してファイナルに行けたことはうれしいです」
明日は東アジアの頂点をかけ、ソウルSKナイツと対戦する。原は予選で敗れた琉球ゴールデンキングスの思いも背負って臨むと意気込んだ。「来週、琉球さんとは天皇杯で戦うんですけど、アジアに挑戦したのは2チームだけなので、琉球さんの分も背負って戦っています。日本の代表として戦って、日本のクラブが強いんだぞというところを見せ、必ず優勝したいです」