ラッセル・ウェストブルック

代役はボーンズ・ハイランド「勢いを繋いでいく」

現地3月1日のウィザーズ戦で、クリッパーズのラッセル・ウェストブルックが左手を骨折するアクシデントに見舞われた。

今シーズンのクリッパーズは3勝7敗と低調なスタートを切ったが、その後は35勝13敗と好調をキープして西カンファレンスの上位争いを演じている。開幕直後にジェームズ・ハーデンが加入し、スター選手がスタメンにずらりと揃う一方でローテーションプレーヤーが抜けてチームはバランスを崩していた。そこでウェストブルックがベンチスタートに回ることを指揮官タロン・ルーに提案。35歳になっても爆発的な運動能力は衰えておらず、スター選手としてのエゴを押し通すこともできたはずだが、彼はチームを優先してセカンドユニットの牽引役を買って出た。

その結果、チームのバランスは改善。もともと仲の良いポール・ジョージが「ラス(ウェストブルック)はチームの全員と親しくなり、特別な繋がりを築く才能がある」と語るように、クリッパーズがチームとして機能する上での中心人物となっていた。

そのウェストブルックはここまで全試合に出場してきたが、それはジョーダン・プール相手のディフェンスでスティールを試みた際にケガを負ったことで途絶えることとなった。。復帰までのスケジュールは立っていないが、通常であれば4週間から6週間を擁する。レギュラーシーズン最後の数試合に間に合うか、プレーオフでの復帰するか、というタイムラインだ。

このウィザーズとのホームゲームでは、会場を訪れたファンにウェストブルックのボブルヘッドが贈られる日だった。記念すべき夜に起きたアクシデントに指揮官タロン・ルーは失望を隠せない。「ラスが気の毒だ。相手のドライブに対して背後からスティールを狙った際、相手の肘が当たったんだと思う。手術が必要になるかどうかはまだ分からないが、彼の離脱に対応しなければ。もちろん、彼はケガをしていてもチームの力になってくれるだろう。ベンチから声を出すことでもチームにエネルギーを与えられる、それがラスなんだ。ただ、一日も早く復帰できることを願うよ」

クリッパーズは選手層が薄く、ハーデンとウェストブルックに続くポイントガードはボーンズ・ハイランドしかいない。その彼はウェストブルック不在となった後半に16分間プレーした。彼は開幕当初こそ20分以上のプレータイムを得ていたが、ハーデン加入とともにローテーションを外れ、今シーズンここまでわずか20試合の出場に留まっている。ナゲッツで出番がないことに不満を表明して昨シーズン途中に移籍してきた23歳にとっては厳しい状況であり、先日のオールスター休暇直前の試合では、PJ・タッカーとともに自宅待機を命じられている。

「誰だってケガはしたくない。誰のケガであってもケガは最悪だ」とハイランドは前置きした上で「ようやく忙しくなってきた。チームが勝利を積み重ねている勢いを繋いでいくつもりだ」と言う。

そしてハイランドは、ウェストブルックへの思いを語った。「ローテーションから外れるのは厳しいけど、乗り越えなきゃいけない。ハードワークを続けていればいずれ報われる。ラスは僕がここに来た時から相談できる存在だった。どんな時もハングリーであれ、練習でハードワークして、自分らしさを失うなと言い続けてくれたのは彼なんだ」

忍耐力を欠いたナゲッツ時代と違って出場機会がなくてもモチベーションを保てたのは、頼れる兄貴分の存在があったからだとも言えるし、彼自身が成熟したとも言える。「僕は僕らしくやる。プレーできるのは気分が良いよ」

試合に出ていない間のハイランドの努力を見ていたポール・ジョージはこう語る。「ラスを失うのは大きな痛手で、その穴を埋めるには彼が必要だ。彼はそのための準備をしてきたから大丈夫だろう。長らくプレーから遠ざかっていたから、チームにフィットするためのサポートは惜しまないつもりだ」