「振り返る日が来たら、その時は素晴らしいと言う」
オールスター休暇明けの試合、ナゲッツは格下のウィザーズを全く寄せ付けず、第1クォーターに13点のリードを奪うと、その後も主力のプレータイムを抑えながら危なげない試合運びで130-110の完勝を収めた。
ウィザーズは攻守に冴えず、ディフェンスではナゲッツのバランスアタックを止めようと意識するも、一番肝心なリムへのレーンを空けてしまい、簡単なレイアップやダンクを次々と食らった。序盤からビハインドを背負い、取り返そうと急いで打つシュートは決まらない。3ポイントシュートはカイル・クーズマの6本成功を始め44.7%と高確率で決めたが、2点シュートは34.8%しか決まらず、これがヨキッチのリバウンド獲得を助けた。
ヨキッチはこの試合で極めてスムーズにスタッツを稼ぎ出していった。フィールドゴール10本すべてを決めて21得点、19リバウンドに15アシスト。ケンテイビアス・コールドウェル・ポープが指の捻挫で前半途中までしかプレーせず。他の選手も休養を挟んでプレータイムを制限する中、ヨキッチはこれだけの数字を31分プレーしただけで記録した。
彼は前半だけで23得点14リバウンド9アシストをマーク。第2クォーター残り1分半、ヨキッチのパスをゴール下で受けたアーロン・ゴードンが、レイアップに行けたにもかかわらずコーナーで待つコールドウェル・ポープにエクストラパスを送ったが、ここでゴードンが決めていればヨキッチは16分間だけでトリプル・ダブルを記録していた。
「前半は最高のプレーができた」とヨキッチ。「第3クォーターの34失点は取られすぎだけど、試合を良い形で締めることはできたから、まあ良いだろう」
とにもかくにも、ヨキッチはこれでレギュラーシーズン121回目のトリプル・ダブルを記録した。これはラッセル・ウェストブルック(198回)、オスカー・ロバートソン(181回)、マジック・ジョンソン(138回)に次ぐNBA4位の記録。そして20得点15リバウンド15アシスト以上をフィールドゴール成功率100%で達成した初の選手となった。また、これでヨキッチは対戦したすべてのチームからトリプル・ダブルを記録したことになる。これはレブロン・ジェームズとウェストブルックに続く3人目の快挙だ。
ただ、ヨキッチはいつもそうであるように、自分の記録について饒舌ではない。「引退後にレガシーとマイルストーンになる。振り返る日が来たら、その時は素晴らしいと言うだろうね」と語るに留めた。その一方でダブル・ダブルを記録したクリスチャン・ブラウン、同じく攻守にハッスルしたペイトン・ワトソンの若手のパフォーマンスをこう称える。「2人とも良いプレーをしてくれた。複数のポジションを守れて動ける2人のディフェンスとリバウンドでの奮闘で僕らは助かっている。決してあきらめずに戦うマインドセットも素晴らしい」
昨シーズンは西カンファレンスを独走していたが、今シーズンのナゲッツはティンバーウルブズ、サンダー、クリッパーズとの4チームでトップ集団を形成し、レギュラーシーズン終盤戦へと入っていく。しかしヨキッチにとって、その違いはほとんどないようだ。「最も大事なのは正しいプレーをすることだ。そしてプレーオフでそれぞれが最高の自分でいる必要がある。もちろん、第1シードを取れずにファーストラウンドでレイカーズやウォリアーズと対戦するのは誰も望まない。プレーオフで良いプレーをするためにも今に集中すべきなんだ」
今シーズンの西カンファレンスは例年以上にレベルが高い。それでもトップ集団でナゲッツの経験と安定感はずば抜けており、これまで課題だったセカンドユニットが若手の成長でレベルアップすれば弱点のないチームになる。ケガなく良好なコンディションを維持したままレギュラーシーズン終盤戦を乗り切れば、ナゲッツはやはり優勝候補の筆頭となるはずだ。