カイル・ラウリー

地元チームでプレーすることに「準備はできている」

セブンティシクサーズは現地2月13日、カイル・ラウリーとの契約を発表した。北フィラデルフィア出身の彼は、トレード先のホーネッツでバイアウトに合意した後、故郷のクラブで初めてプレーすることになった。

それでも現地22日にシクサーズの一員として初めてメディア対応を行った彼は「シクサーズでプレーすることを夢見ていたわけじゃなかった。地元でプレーするのは難しいものだからね。でも、最終的には夢がかなったと言っていいのかもしれない。家族や友人、僕が育った場所の人々の前でプレーすることができる。若い頃はその準備ができていなかったと思うけど、キャリアのこの時期になれば準備はできている」

ラウリーはNBAキャリア18年目、37歳を迎えた。契約内容は明かされていないが、今シーズン終了までのベテラン最低保証額と見られる。ラプターズでNBA優勝を勝ち取った5年前のような全盛期のパフォーマンスは見せられないにしても、彼はまだ重要な価値を提供できる。ジョエル・エンビードにタイリース・マクシーと、チームの核となる選手はいるが、勝つために必要な経験とリーダーシップを欠くシクサーズにとっては最適な補強となるだろう。

ラウリーにとってシクサーズは単に地元のチームであるだけではない。指揮官ニック・ナースはラプターズでともに優勝を勝ち取った仲で、多彩な戦術を使い分けで試合の流れを引き寄せるナースの戦い方への理解は誰よりも深い。ナースは「彼は私と長く一緒にやってきたから、少し前に加わった選手よりもウチのやり方に慣れている。すでに声を出すリーダーとして存在感を出しているよ」と、ラウリーへの信頼を語る。

ラウリーはテリー・ロジアーのトレードに絡む形でヒートからホーネッツへと移籍したが、ホーネッツではプレーしておらず実戦からは約1か月遠ざかっている。それでも彼はコンディションが整った状態でチームに合流した。モー・バンバから譲り受けたことでお馴染みの『7』を背負う彼はモチベーションも高い。

「ここでプレーするのが楽しみだ。やるべき仕事は分かっている。マクシーの成長を助け、このチームがしばらく行けていない場所まで引き上げたい。どんな形であれ、僕はプロフェッショナルとしてこのチームを成長させるつもりだ」

ラウリーはリラックスした表情で話し続ける。「それでも、僕は自分らしくやるだけでいい。時には何か言わなきゃいけないことおあるだろうけど、ただ自分の仕事を一生懸命やるだけでいいんだ」

シクサーズはエンビードが左膝をケガしてから失速し、直近の12試合で3勝9敗と苦戦している。エンビードの戦線離脱が痛手だったのは間違いないし、彼の復帰はレギュラーシーズン終盤になりそうだが、オールスター休暇明けにはトバイアス・ハリス、ディアンソニー・メルトンとニコラス・バトゥームが復帰できる。ラウリーの加入でチームが上向きに転じ、チーム力を高めた上でエンビードの復帰を待ってプレーオフへ──。シナリオ通りに事が運ぶかどうかは別として、シクサーズは少なくとも正しい歩みを取り戻したと言える。