NBAオールスター

レブロン「一番の収穫はケガ人が出なかったこと」

NBAオールスターのMVPがデイミアン・リラードに決まった瞬間、アリーナはブーイングに包まれた。地元ペイサーズのエースであるタイリース・ハリバートンに活躍の機会を譲らなかった結果として選出されたMVPに、インディアナポリスのファンは不満をぶつけた。だがそれ以上に、シンプルにNBAオールスターというイベントが退屈だった。

メインイベントであるNBAオールスター本戦がブーイングで終わるのだから、他のイベントはお察しだ。ライジングスターズはNBAマニアしかその存在を知られておらず、ビクター・ウェンバニャマがファーストラウンドで消えたことで後から話題となる可能性も潰えた。スキルズチャレンジは地元ファンの前でそれなりにやる気を出したチーム・ペイサーズが盛り上がりを提供したが、優勝を決めるハーフコートショットを狙う時に、相手チームのスコッティ・バーンズは背面からのシュートを試みており、本気度はゼロだった。

ダンクコンテストはザック・ラビーンvsアーロン・ゴードン以降はパッとしない。昨シーズンはマック・マクラングが目覚ましいパフォーマンスを見せたが、彼の連覇はGリーグからの助っ人なくしてダンクコンテストが成り立たないことを証明した。今年のマクラングに初登場ほどのインパクトはなかったし、それでもNBAプレーヤーではない彼が連覇するのだから、もはやNBA選手によるダンクコンテストは存在意義を失ってしまった。

今年のオールスター・ウィークエンドで唯一の例外がステフィン・カリーとサブリナ・イオネスクの3ポイントシュート対決で、これは文句の付けようのない極上のエンタテインメントだった。スキルに男女の差がないことを示す意義があり、ステフのスター性が遺憾なく発揮された。しかし、その前に行われた3ポイントシュートコンテストの面目は丸潰れだ。優勝したリラードと同じポイントをイオネスクが叩き出し、ステフがそれを上回る。リラードが掲げたのは何を称えるトロフィーだったのだろうか?

メインイベントであるNBAオールスターも、盛り上がるシーンはいくつかあったものの、真剣勝負の気配はどこにもなかった。ファウルは両チーム合計で3つ。勝った東のオールスターチームの得点は211。世界最高のリーグから選ばれたベストプレーヤーが競い合えば200点超えは当然? 3ポイントシュート成功率は西が35.2%で東が43.3%だった。誰一人として本気を出していないディフェンスを相手にこれだけの数字しか出ないのは、オールスターとは名ばかりで実力がないか、やる気がないからだと言わざるを得ない。もちろん、これは後者だ。

2020年のドラフト全体1位指名選手でティンバーウルブズのエースとして活躍するアンソニー・エドワーズは、オールスターに対する選手のモチベーションの低さを彼らしい率直さで肯定している。「僕にとってオールスターは楽しむもので、本気で競争するものだとは思っていない。本気でやるために何ができるのか分からないけど、そもそもこれは休息だ。誰もここで本気でプレーしようとは思わないよ」

大凡戦に終わったオールスター本戦で最も盛り上がったのは、試合前の選手紹介だったのかもしれない。そこで最も人々の関心を集めたのは、20回目のオールスター選出となるレブロン・ジェームズだった。だが彼は先発したものの14分しかプレーせず、試合後にはこうコメントしている。「僕たちの競争心はこれだけ自由に得点を許すことを好まない。でも今日の一番の収穫はケガ人が出なかったことだ」

数年前にリーグはオールスターにエラムエンディングを導入した。1年目こそ、第4クォーター限定であっても本気かそれに近い強度のプレーが見られたが、2年目にして効果は半減し、リーグはこれを取り止めた。

こうなると、NBAオールスター自体が何のために存在しているのか分からなくなる。オールスター休暇となる1週間を通常のレギュラーシーズンにあて、過密日程を緩和すれば、より幅広いメリットがもたらされる。NBAオールスターはリーグの収益源であり、選手の偉大さを示す場であり、社会貢献の機会であって、それをなくすわけにはいかないとの反論も出るだろうが、選び抜かれたトップ選手がやる気のないプレーを見せればNBAの価値は下がり、それはリーグの収益にも選手の価値向上にもマイナスに働く。過密日程が緩和されれば全30チームそれぞれで社会貢献の機会を増やすことは可能なはずだ。

リーグも選手も、今はビジネスが拡大する好景気の最中だから誰も異議は唱えない。しかし、ファンはこの現状に「ノー」を突き付けるべきだ。NBAオールスターは本来あるべき価値を提供していない。