「1年前に代表デビューした自分とは全然違うと思います」
昨年2月の『FIBA ワールドカップアジア2次予選』イラン戦における衝撃デビューからちょうど1年。本戦はあと一歩というところで落選した金近廉は「今度こそ」と言わんばかりの目覚ましい成長を遂げ、パリ五輪代表入りを待ちわびている。
昨年春に東海大を退学し、数カ月間の練習参加期間を経て千葉ジェッツに正式加入した20歳。大学時代はリム周りでプレーすることが多かった196cmのフォワードは、プロの舞台でウイングを主戦場とするボールハンドラーとしての役割を与えられた。チーム最年少かつ加入初年度ながらコンスタントに出場時間を獲得し、ここまでのBリーグレギュラーシーズンでは全39試合中37試合出場、平均約17分のプレータイムで、7.7得点(フィールドゴール成功率は41.1%)、1.5リバウンドといったスタッツを挙げている。
2月12日から始まった『FIBAアジアカップ2025予選 Window1』の直前合宿に参加している金近は、この1年の自身の成長と自信について次のように述べた。
「国際試合もあったり天皇杯もあったり、たくさんの試合を経験していく中で、より自信がついてきていますし、パフォーマンス的にも1年前に代表デビューした自分とは全然違うと思います。本当に自信はあるので、あとは本当にメンバーに選ばれるだけだっていう気持ちで、今、頑張っています」
あとは選ばれるだけ——。大勢の報道陣を前にして、なかなか言い切れることではない。それだけのことをやってきたという過程が、発した言葉から確かに伝わってきた。
インサイドプレーヤーからクリエイトできるシューターに進化
ワールドカップの最終メンバーからの落選とその理由は、ホーバスヘッドコーチから直接聞かされた。当然悔しかったが、仕方ないと思えてもしまった。「落ちた理由に納得ではないですけど、パフォーマンスが良くない試合が多かったですし、そこを修正できなかったので」。
また1から頑張ろうと気持ちを切り替えたという金近が、特にこの1年で成長を感じるプレーとして挙げたのが3ポイントシュートとそれに至るまでのプロセスだ。
「フィジカルが強くなって安定して打てるようになりましたし、ドリブルからだったり、スクリーンをもらったり、オフボールで動きながら打ったり、試合の中でいろんな形で打つことが増えたので自信がつきました。どういう形であっても打てるなっていう気持ちにもなってます。なんて言うんですかね、自分でたくさん打てるチャンスを見つけられるようになりましたし、その上で、相手が嫌がるようなプレーをもっとできるようになっていきたいなっていう風に思っています」
196cmの上背と強靭なフィジカル。図抜けた跳躍力と脚力。そこに自ら3ポイントシュートをクリエイトできる能力が上乗せされつつある。金近のホーバス・ジャパンへの適性は、1年前とは比べ物にならないほど上がっている。
プロ転向に後悔はない。ただ一抹の心の痛みは、もちろんある。「本当にたくさんの方に迷惑がかかった部分もありますし、いろんな方に助けてもらって、今この場にいられているとも感じています。そういう方々への恩返しの意味も込めて、絶対にメンバーに選ばれたい」。金近はそう言った。