脇真大

桶谷HC「ディフェンスはかなり良いです。できたら脇は使いたい」

琉球ゴールデンキングスは、23日と4日に行われたアウェーでのアルバルク東京戦を11敗で終えた。初戦はオーバータイムの末、80-91で敗戦。2試合目は第2クォーター途中に最大26点リードを奪いながら終盤に一度は逆転されるも、そこから盛り返して76-74と競り勝った。

ともに地区首位とはいえ、負け数は琉球が6つも多く、現状ではA東京のほうが安定したパフォーマンスを続けている。それだけに琉球にとって2試合ともに最後までもつれる激闘となっての11敗はポジティブな要素が強いものだ。

選手個人でいうと、帰化選手として加入したばかりのアレックス・カークは、ヴィック・ローの3番ポジション起用を筆頭に様々な戦略的な幅を広げた。また、カークと共に大きな収穫となったのは特別指定で加入した白鷗大4年の脇真大だ。

下級生の頃から大学屈指の強豪である白鷗大で主力を務めていた脇は、絶対的なエースとしてチームを今年度のインカレ優勝に導いた。今年の大学4年生世代では一番の実績を誇る193cmのウイングが、新天地の舞台に選んだのは琉球だ。

1231日にデビューを果たした脇は、ウイング陣に故障者が続いた影響もあるが、2日には4分出場、3日は812秒と出番を増やし、つなぎ役として勝利に貢献した。桶谷大ヘッドコーチも「ディフェンスはかなり良いです。できたら脇は使いたい」と評価するパフォーマンスだった。

4日の試合終了後、脇は自身のプレーについてこう振り返った。「松さん(松脇圭志)や(小野寺)祥太さんが怪我をして、プレータイムが増えてきたのは自分にとってチャンスです。怪我をした人たちの穴を埋めるのが自分のできる仕事だと思います。その部分で少しは貢献できたのは良かったです」

ちなみに脇の父、将典さんはかつてA東京の前身にあたるトヨタ自動車で活躍したトッププレイヤーだった。今回は父の古巣との対決となったわけだが、「特にそういった話はしていなかったです」と明かしつつも、気持ちを高めるやりとりがあったと話してくれた。

「昨日、(父から)LINEで『勝ちたいね』というメッセージが来て、そこは本当に自分のモチベーションにもなりました。ファンの方たちのためであり、家族とか、応援してくださる人たちのためにも勝ちたいなと思いました」

脇真大

「ドライブは本当に自信があるので、プロでも通用すると思っています」

大学時代の脇は、フィジカルの強さを生かしコンタクトを受けてもフィッシュまで持っていけるドライブで得点、フリースローを獲得できるのが大きな持ち味だった。しかし、大学と違ってBリーグではサイズ、身体能力に優れた外国籍ビッグマンがゴール下をカバーしているため、大学時代のようにアタックするのは容易ではない。

Bリーグに進み、アジャストに苦戦するスラッシャータイプの選手は少なくないが、脇は積極的にドライブを仕掛けるなど、非凡な適応力を早くも見せ始めており、本人も手応えを得ている。

「もちろん高さは大学よりあるので気にしています。今、ワークアウトなどでその高さに対応したシュートだったりを意識して打っています。それでアジャストができてきていると感じられる部分はあります。また、大学の時は3ポイントシュートがあまり上手ではなかったですが、打ち込んでいくことで入るようになってきて、自信がついています」

また、自身の代名詞であるドライブにも強いこだわりを示す。「ドライブは本当に自信があるので、プロでも通用すると思っています。ただ、(ドライブからのシュートだけでなく)キックアウトも必要となってきます。3ポイントシュートも打つべきタイミングでは絶対に打たないといけないですし、プレースタイルはあまり変えずに来ています」

世代屈指の実力を誇る脇であり、Bリーグでのプレーには様々な選択肢があっただろう。すぐに主力としてプレーできる環境に身を置くこともできたはずだが、彼が選んだのは昨シーズンの王者でリーグ屈指の選手層を誇る琉球だ。

そこには自身が成長するために重要視する、ブレない信念がある。「プレータイムを簡単に獲得できないのは分かってキングスに入りました。それは、素晴らしい先輩たちがたくさんいて、自分がバスケキャリアを続けていく上で必要な多くのことを学べる。いろいろな選手の武器を盗んでいきたいという思いからです。プレータイムは与えられるのではなく、自分で勝ち取るもので、まずは先輩たちから学んでいきたいです」

そして「自分がシュートを決めた時とかに先輩たちが喜んでくれるのは、本当に嬉しいです。だからこそ、もっと打つべきシュートは絶対に決めなければいけないとより強く思います」と、チームに早くもなじめている。

昨シーズン、琉球のBリーグ制覇はチャンピオンシップに入っても成長を続けたセカンドユニットの若手選手たちの成長によってもたらされた。連覇を達成するには再び若手のステップアップによる底上げが不可欠であり、脇が持ち味のドライブでクリエイターとして存在感を示せるかは大きな注目ポイントだ。