勝ち星が伸びず「危機感はあります」
アルバルク東京は週末の滋賀レイクスターズ戦に連勝し、今シーズン最長となる7連勝を達成した。最高の形でリーグの中断期間を迎えることとなり、「コーチも結果にこだわろうと、全部勝とうと話していたので良かった」と、田中大貴もこの連勝に満足している様子。
7連勝を達成したA東京は、現在28勝12敗とリーグ4位の好成績を収めている。それでも、激戦の東地区では千葉ジェッツ、栃木ブレックスに次ぐ3位という立ち位置だ。Bリーグを制した昨シーズン(44勝16敗)と比べると、勝ち星は思うように伸びておらず、田中にも危機感がある。
「天皇杯も悔しい負け方をして、一つのプレーの重みをみんなが強く意識を持たないといけないと思いますし、危機感はやっぱりあります。去年優勝できたから今年も優勝できるというわけじゃなく、チームスポーツは連覇が一番難しいと思うので」
「去年の結果があるので、今年はどのチームも自分たちを倒そうと必死にやってくると思ってましたし、簡単にはいかないシーズンになるとは思ってました」と田中が言うように、A東京の包囲網が出来上がっている。
大黒柱のアレックス・カークと田中のピック&ロールは、今もA東京の強みの一つではあるが、「他チームも我々を研究してきている。以前のようにうまくいかないのは当然のこと」と、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチもコメントしていた。
終盤戦に向け「ここからが勝負」
堅守と緻密に計算されたチームオフェンスを武器にBの頂点に立ったA東京は、今シーズンを迎えるにあたりほとんど補強を行っていない。それは積み上げてきたチームケミストリーを維持し、さらに積み上げることを選択したからだ。それでも、「単純にレギュレーションが変わって、オン1の時のアドバンテージがなくなったと思います。それは一つ影響している」と、田中はレギュレーションの変更が少なからず現在の成績に影響していると認めた。
リーグ4位の好成績を手放しで喜べないのは、前年度王者としてのプライドがあるから。だが、その経験があるからこそ、レギュラーシーズンの先にある戦いを見据えており、田中に焦る様子はない。「我慢してこうして戦い続けていることは評価できますし、チャンピオンシップの出場権を確保することが一番大事なので。最後に良い戦いをするために上げていけたらと思っていますし、ここからが勝負だと思う」
ルカ「私はグアムでエンジョイしてくるよ」
A東京にとって勝負となる終盤戦を迎える前に、日本にとって今後のバスケ界を変えるかもしれない勝負の時を迎える。日本代表でもある田中は「次の2試合が大事というのは重々承知してます。どんな内容でも、どんな形でもいいので、ワールドカップ出場を手にしたい」と意気込む。
そんな大一番に向け、田中は休むことなく代表へと合流する。一方でチームはオフ。練習量の多さで有名なA東京だが、今回ばかりは今日から5日間の休養に入った。ちなみにルカコーチからは「お前たちはNTC(ナショナルトレーニングセンター)だけど、私はグアムに行く。夜は響(ウイスキー)を飲んでエンジョイしてくるよ」と、妙な激励を受け取ったという。
「自分は大人なので、良い雰囲気にして自分たちを送り出しているんじゃないかと、そういう風に受け止めました(笑)」と、田中は指揮官の言葉を前向きにとらえた。
チームにとっても日本にとっても大事な戦いがこれから続いていく。特にタフなシーズンを送っている田中には、日本にワールドカップ出場権をもたらすことで、勝利の美酒に酔いしれてほしいものだ。
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