キヤンテ・ジョージ

トレードデッドラインを前にタレントに注目集まる

ジャズは再建チームらしい苦しい開幕スタートを経て12月から調子を上げ、プレーイン圏内での戦いを見せています。ラウリ・マルカネンを中心にした選手の個性を見事に繋ぎ合わせたオフェンスでハイスコアゲームを制していく戦いぶりで、西カンファレンスをかき乱す存在となっています。

昨シーズンのオールルーキーチームに選ばれたウォーカー・ケスラーをベンチスタートに変更し、スターターに並べたマルカネン、ジョン・コリンズ、シモーネ・フォンテッキオのビッグマン3人がオフボールでポジションチェンジを繰り返し、3ポイントシュートとカットプレーで崩していく連動性に、コリン・セクストンとクリス・ダンが空いたスペースをドライブで切り裂く形が定着してきました。

よりパスの上手いガードを起用すればマルカネンの得点力が生きてくるのですが、自らアタックするタイプと組ませたことでディフェンスが読みにくいオフェンスになっています。徹底したスペーシングでゴール下を空けておき、オンボールでもオフボールでもスペースを有効活用していく形は、スターター5人の個性が有効活用されています。

ベンチからジョーダン・クラークソンやキヤンテ・ジョージが入ると、一転してガード陣は積極的なアウトサイドシュートで崩し始めます。ここにゴール下で強さを発揮するケスラーが加わることで、スクリーンでシュートチャンスを作り、アリウープパスからのゴール下フィニッシュにオフェンスリバウンドと、スターターは異なる形のオフェンスが展開されます。異なる個性を組み合わせることでオフェンスに変化を出すことがジャズ最大の武器となっています。

複数のスーパースターを集めなくても、個性と選手層があれば十分に戦えることを示していますが、多くの選手が活躍するからこそ、デッドラインでのトレードという可能性も浮上してきます。ここまで上手くいっているとはいえ、群雄割拠の西カンファレンスでトップチームに返り咲くには現状のロスターでは不十分であり、ドラフトで有望株を集める流れは変わりません。

今シーズンで契約が切れるケリー・オリニクとテイレン・ホートン・タッカーは、シーズン後半に向けて選手層を厚くしたい上位チームに向いており、2年後まで契約が残るクラークソンとコリンズはチームを立て直したい中位チームに向いている補強候補となります。ジャズが個性を生かしたバスケットを展開しているからこそ、他のチームからすると補強ポイントが明確に見えて、獲得に動きやすくなります。

ジャズとしてもプレーオフ進出を目指した補強をするのか、それとも未来を考えたドラフト指名権を集めていくのか、判断が分かれそうなトレードデッドラインになってきました。ケスラーやジョージといった若手の放出はないにしても、積極的に選手を動かすのであれば様々なチームから関心を持たれそうなだけに、トレード市場での動き方が注目されます。