「リーグの多くの選手と同じようにこれは馬鹿げたルールだと思う」
近年、NBAでは連戦になると1試合は欠場するロードマネジメントが一般的になるなど、スター選手たちがコンディション調整のために試合を休むケースが増えてきている。この流れを少しでも変える抑止力の効果を期待したものか、今シーズンからレギュラーシーズンMVP、オールNBAといったアワードは、少なくとも20分以上のプレータイムで65試合以上出場が対象条件となった。
ここまでMVP候補と言える大暴れを続けているジョエル・エンビードは欠場試合が多く、このルール変更によって、対象外となる可能性が高い。エンビード自身は2022-23シーズンに受賞しているMVPについてこだわりはなく、タイトルに関してはNBAファイナル制覇のことしか考えていない。このままMVPの受賞資格を得られなくなっても、そのことで声を荒げることはないだろう。
一方、この変更によってアワードという名誉ではなく、金銭面で被害を受ける可能性があるのが、タイリース・ハリバートンだ。プロ4年目の今シーズン、ここまで平均23.3得点、12.5アシストを挙げるハリバートンは、ペイサーズの躍進を牽引するリーグ屈指の司令塔として大きなステップアップを遂げている。
ハリバートンは、今シーズン開幕前にペイサーズとマックス契約での延長に合意したが、今シーズンにオールNBAへ選出されるか否かで、新シーズンからの契約金額に大きな違いが出てくる。すでに5年総額2億ドル(約290億円)が保証されているが、オールNBAに選出されると2億4500万ドル以上(360億円)へと増額される。
このままの活躍をキープすれば、彼がオールNBAチームに選出されても異論の声は出ないだろう。ただ、ここで問題となってくるのが65試合ルールだ。現地1月8日のセルティックス戦での股関節の負傷による数週間の離脱もあり、ハリバートンは現視点で13試合に欠場し、負傷した試合で20分以下のプレータイムに終わっている。そのため、彼がアワードの受賞資格を満たすために可能な欠場試合と1試合20分以下のプレータイムは、残り3試合しかない。
先日、ハリバートンは「リーグの多くの選手と同じようにこれは馬鹿げたルールだと思う」と語っていたが、彼の状況を考えればそれも納得だ。このままハリバートンが故障なくシーズンを乗り切り、少なくともオールNBAの選考対象となれることを願う。