オフェンスリバウンド8本を含む11得点14リバウンドの大活躍で逆転勝利の立役者に

宇都宮ブレックスは、1月20日と21日に行われたアウェーでの琉球ゴールデンキングス戦を1勝1敗で終えた。初戦を66-68とあと一歩で敗れた宇都宮は、この試合で負傷したアイザック・フォトゥが2試合目を欠場。ギャビン・エドワーズに続くビッグマンの離脱という大きなピンチに陥ったが、チーム一丸のタフな守備でサイズ不足を克服し、74-68と価値ある勝利を挙げた。

第2戦の宇都宮は、前日にフィールドゴール試投数6本のみの8得点に終わった比江島慎が、第1クォーターからエンジン全開で積極的にアタック。第1クォーターだけで10得点を挙げ18-4のビッグランを導き、先制パンチの原動力となった。その後、琉球に徐々に追い上げられると第4クォーター残り4分半で7点のビハインドを負うが、この苦境で誰一人として下を向くことなく戦い続け、激しいディフェンスで流れを引き寄せる。残り49秒、第1戦の最後に決まれば勝利となるシュートを外したDJ・ニュービルが、雪辱を果たす3ポイントシュートを沈めて逆転。そして、琉球を残り4分半の間無失点に抑えるディフェンスによって、そのままリードを保って激闘を制した。

比江島、ニュービルの2大エース以上に、第2戦で大きなインパクトを与えたのが竹内公輔だった。初戦の竹内はマッチアップしたアレン・ダーラムに残り30秒で勝ち越しシュートを決められると、さらに直後のポゼッションでオープンのコーナースリーを外してしまった。しかし、この試合では、フォトゥ欠場により32分3秒出場とフル稼働の中、味方との巧みな合わせのプレーから確率良くシュートを決め11得点をマーク。さらにジャック・クーリーを中心としたリーグ随一のリバウンド力を誇る琉球のインサイド陣を相手に、圧巻のオフェンスリウバウンド8本を含む14リバウンドとダブル・ダブルを達成。出場時間の得失点差を示すプラスマイナスでは、ダントツでチームトップとなる+21を記録する大暴れだった。

試合後の会見で、竹内は同一カード連敗を避けられたことへの安堵感を語る。「2日間とも非常に激しい試合になりましたけど、なんとか今日一つ勝ててよかったです。残り4分半、ヴィック・ローに3ポイントシュートを決められて7点差をつけられた時、そこでズルズルいかずにもう一度奮起して逆転できたのは、今後チームがステップアップするための大きな要因になると思います」

「『あいつらをやっつけてやる』くらいの気持ちでないと勝てない。良いメンタルで試合に臨めた」

また、勝利の立役者となった自身の活躍について、絶対にやり返すという強い気持ちで臨んだことが良かったと振り返る。「昨日は終盤にダーラム選手にめちゃくちゃやられ、 最後にDJが良い形でパスをくれたのにシュートを決められなくて負けてすごく悔しかったです。そして試合前にアイザックが出られないと分かって、『あいつらをやっつけてやる』くらいの気持ちでないと勝てない。今、思えば良いメンタルで試合に臨めたと思います」

今回以外でも今シーズンの宇都宮は主力選手に故障者が出ても強さを維持している。「DJは本当にすごく大きな部分で、チームにエネルギーを与えてくれています。そして比江島は日本で一番良い選手だと思います。1人欠けようが比江島もいるしと、開き直ってやれています」

こう竹内は、2大エースへの信頼を強調すると共に、「去年は誰かが欠けた時にステップアップできなかったです。でも今年は誰かが欠けたらその選手の分もステップアップしようと非常に良いロッカールームの雰囲気ができていると思います」とチームの進化について手応えを得ている。

このステップアップに関して言えば、ニュービルと共に大きなアドバンテージをもたらすと期待されていた帰化枠のエドワーズが11月中旬から離脱し、その穴を見事に埋めている竹内の存在は何よりも大きい。竹内は自身のパフォーマンスへの感触をこう語る。「ギャビンがケガをして復帰まで結構かかるとなった時、最初はちょっと不安でした。それがバイウィーク明け(12月2日、3日の)の横浜BC戦で、自分がこのプレーをしたらチームがうまくいくなとある程度体感できました。これを続ければうまくいくと手応えをつかめました。特に自分でどうこうというより、チームで決めたことを遂行することが大事だと思います」

1週間後の29日には39歳となる竹内は、今でも見事なコンディションを維持しているが、それでもBリーグ初期の頃に比べると身体能力の低下は否めないだろう。だが、佐々宜央ヘッドコーチも絶賛する卓越したバスケットボールIQを持ち、チーム戦術をしっかりと遂行する抜群の安定感を誇っている。また、巧さと共に決して言い訳をしない気持ちの強さも備える。現在のBリーグで安定して出場機会を得ている日本人ビッグマンは少ない。心技体が揃っている今の竹内は、若手ビッグマンのお手本となるプレーを続けている。