「具体的にどうするかを議論する段階に来ている」
ウォリアーズはホームでペリカンズに105-141の完敗を喫し、『崖っぷち』からさらに一歩後退した。指揮官スティーブ・カーは「ペリカンズが自分たちのスタイルを理解して調子を上げているのに対し、ウチはラインナップが安定せずバラバラだ」と語ったが、NBAから数か月離れていたファンがこの言葉を聞いたら意味が理解できないに違いない。
ステフィン・カリーは第3クォーター残り3分、18点ビハインドでベンチに下がり、さらに点差が開くのを眺めながら茫然と首を振った。試合後、彼は重要な発言をしている。「僕たちは何を変えてチームを良くするか、具体的にどうするかを議論する段階に来ている。そういった会話は試合と試合の間やフィルムセッション、ロッカールームで行われているけど、状況は逆の方向に進んでいる。何か変化が必要だ。同じことをやりながら違う結果を期待するのは矛盾しているよね」
ドレイモンド・グリーンの出場停止が終わればディフェンスは引き締まり、クリス・ポールがケガから復帰すれば、オフェンスのバリエーションは増えるだろう。しかし、それで17勝20敗のチームが優勝争いのできるレベルまで浮上するわけではない。『王朝』の象徴であるカリーが変化を求めた意味は、とてつもなく重い。
それでも今のウォリアーズは、偉大なチームが終焉を迎えた事実を受け入れ、カリーの残る全盛期を無駄にしないために打てる手はすべて打つべきだ。それはまさにカリーが発言した「同じことをやりながら違う結果を期待するのは矛盾している」であり、誰かを責任を押し付けて放逐する小手先の変化ではなく、抜本的なチーム改革となる。それはNBA優勝を4回勝ち取ったコアの解体という決断に他ならない。
今、戦犯に仕立て上げるとすれば2年前の調子にはほど遠いアンドリュー・ウィギンズだろうが、彼をトレードしたところでチーム再建に十分な見返りは得られない。クレイ・トンプソンとドレイモンド・グリーン、クリス・ポール、常勝チームには珍しく保有している1巡目指名権も含めた議論が必要だろう。ジョナサン・クミンガやモーゼス・ムーディーといった若手にしても、今後チームのエース格になると判断できないのであればトレードの議論に含めるべきだ。
ウォリアーズの解体を考える上では、高額な贅沢税の存在は無視できない。ウォリアーズはリーグで最も高額のサラリーを選手に支払っているチームであり、贅沢税は推定で1億9200万ドル(約290億円)と人件費総額に迫る金額にのぼる。チーム再編の際には、この状況の是正が必ずセットで行われる。サラリー大幅削減を果たしつつ、カリーを軸に競争力のあるロスターを作ろうと思えば、過去にどれだけの実績があっても力の落ちた選手を厚遇し続けるわけにはいかない。そうなると、クリス・ポールの保証されていない来シーズンの契約は破棄されるだろうし、オフにフリーエージェントとなるクレイ・トンプソンは格安の契約で残留するか、キャリアの最後を別のチームで過ごす決断に迫られる。ドレイモンドとウィギンズの2027年まで残る大きな契約は犠牲を払ってでも片付けなければならない。
ウォリアーズはコアメンバーをずっと大事にして『王朝』を守り続けてきたが、それももう限界だ。今シーズンのパフォーマンスは開幕当初からブーイングを浴びても仕方のないもの。ホームですでに11敗、過去2年、シーズンを通してのホームでの負けの数をすでに上回っている。それでもファンがここ2試合までブーイングを我慢してきたのは、過去の栄光があったからだ。彼らの忍耐もここまで、そしてカリーの我慢も限界に達しようとしている。
「選手である僕らにコントロールできるのは、努力し、集中し、競争を続けることだけだ」とカリーは言う。「NBAではどのチームでも成績がどうあれ多くの噂が出てくる中で、そうやって問題を乗り越えていく。周囲がとやかく言うのはこのビジネスの一部だ。何かが起きるまではそれに影響されず、自分のやるべきことをやっていくしかない」
2月8日のトレードデッドラインまでに、ウォリアーズではこれまでなかった『変化』が起きるはずだ。