ジャ・モラント

開始直後にブロックショットを浴びるもやり返す

スパーズが今シーズンにグリズリーズと対戦するのは2回目で、前回はサンアントニオでの試合。NBAファンなら誰もが一度は見てみたいと思うビクター・ウェンバニャマがメンフィスに来るのは33試合目と遅くなったが、グリズリーズのファンにとっては都合が良かった。ジャ・モラントが出場停止の間に対戦があれば、それは盛り上がりを欠いただろうからだ。

グリズリーズのファンは、これまでザイオン・ウイリアムソンを迎え撃つモラントのパフォーマンスを楽しんできたのと同じように、ウェンバニャマとモラントの対決を楽しみにしていた。開始わずか1分で、モラントがアイソレーションでウェンバニャマに仕掛けるシチュエーションができると、観客は大歓声を上げた。モラントは緩急とクロスオーバーでウェンバニャマをあっさりと抜き去ったのだが、レイアップは背後から叩き落された。その直後の攻めではジャレン・ジャクソンJr.のシュートも叩き落され、アリーナはどよめきに包まれた。

しかし、相手が強ければ強いほど試合が盛り上がることを彼らは知っている。ウェンバニャマは2発のアリウープを含めて20得点7リバウンド4ブロックと攻守に存在感を見せたが、チーム力ではグリズリーズが上。デズモンド・ベインが24得点を、ベンチからはサンティ・アルダマが13得点、ルーク・ケナードが12得点と48分間を通じて波のないグリズリーズが、第3クォーターに突き放した後はセーフティリードを保って106-98の勝利を収めた。

では、モラントとウェンバニャマの勝負はどうだったのだろうか? こちらも勝ったのはモラントだった。最初こそ『一発お見舞いされた』ものの、続くマッチアップの機会ではウェンバニャマの長い腕も届かないステップバックスリーを決め、第4クォーターには最初の一発に対する『倍返し』でやり返す。まずは最初と同じようにクロスオーバーでウェンバニャマをかわした後、ジャンプシュートに対応して跳んだウェンバニャマの届かないコースにダブルクラッチでのフローターを沈める。その数分後には、再びクロスオーバーでウェンバニャマの裏をあっさりと突き、今回はクロスオーバーの幅を広げることでウェンバニャマとの距離を作り、そのままボースハンドダンクでフィニッシュ。ぶら下がったリングを派手に揺らした彼は、フロアに着地すると派手に咆哮した。それに呼応するようにファンも叫び、アリーナは興奮の絶頂に達した。アリウープという点でも、モラントはアルダマのリバースダンクでのフィニッシュをアシストしており、ここでも観客を沸かせている。

ウェンバニャマとの対決は会場を大いに盛り上げたが、試合後のモラントは至って冷静で「試合中は他の選手とやっている時と変わらない。相手が誰であれ得点を狙うだけ。ダンクを決めてやろうと思っていたわけでもない。昔の僕ならともかく、今は誰かを相手にダンクを狙ったりはしない」と語る。

「リムにぶら下がっても?」と問われると、モラントは苦笑しながらこう答えた。「高校で初めて決めたダンクみたいだった。レイアップの延長で、リングにボールを置いていくついでにぶら下がる。まあ、ファンのみんなが望んでいたのは分かっていたから。ちょっと遅い僕からのクリスマスプレゼントだよ」