応援に感謝「彼らに何度もチームは助けられました」
12月25日、桜丘は2回戦で東山と対戦し、74-82で敗れた。最後こそ点差が離れたが、67-67の同点で迎えた第4クォーターは、桜丘がリードする時間の方が長かった。残り5分19秒で舘山洸騎のシュートが決まり、74-71と3点リード。ただ、そこから試合終了まで得点を挙げることができなかった。
東山は夏のインターハイで決勝進出を果たし、今大会でも優勝候補に挙げられている。桜丘は2018年に3位と躍進しているが、富永啓生の卒業後はインパクトを残せず。今年はインターハイ出場を逃したものの、ウインターカップ予選では中部大学第一にリベンジして、出場権を勝ち取った。
2回戦で東山と当たるのはツキがないと思うかもしれない。それでも桜丘の選手たちは「楽しまなきゃもったいない」というチームのスローガンを言葉通りに実行した。
この試合のために準備してきた何種類ものゾーンを仕掛けて東山のリズムを狂わせ、ボールを奪えば積極的にアタックを仕掛けていく。試合の流れが相手に行っても、そのヒリヒリした緊張感を楽しむかのように笑顔でプレーし、良いプレーが出れば喜びを爆発させた。
心強い味方は2階席に陣取る大応援団だ。ずっと身体を揺らしながら大声でチームを応援する。時おり上品ではない言葉も混じるものの、チームを支え、勢いを与えたい一心なのは伝わってくる。26得点を挙げたエースの舘山洸騎は、また25得点で続いたキャプテンの平寿哉は、その声援に押されてアグレッシブに点を取りに行き、良いプレーが決まるたびに派手なセレブレーションで観客を煽った。ファンは沸き、選手たちもノッていく好循環がそこにはあった。
「あの応援がディフェンスからの速攻よりも強み」
最後の最後まで笑顔でプレーした彼らは、試合後もまた笑顔だった。試合中に投げキッスまで披露した平は「ディフェンスからブレイクという自分たちのバスケはしっかり出せました」と笑顔で語る。「悔いは残っていないですし、素晴らしいプレーができたと思います。僕たちのレベルが低かったのではなく、東山のレベルが高かったということ。すごく楽しかったです」
「序盤からターンオーバーを2つしたのはチームに申し訳ない気持ちなんですけど、それでも決めるべきところでシュートを決められたし、会場を沸かせられたのが良かったです。プロでやってるみたいな歓声で、みんなも楽しんでくれたと思いますし、『楽しまないともったいない』というスローガンが伝わったと思います」
そして平はこう続けた。「僕は、あの応援が桜丘の一番の強みで、なんならディフェンスからの速攻よりも強みだと思っています。彼らに何度もチームは助けられましたし、みんなのところに戻ったらすぐに感謝を伝えたいです」
2回戦敗退という結果だけを見れば残念かもしれない。それでも桜丘は自分たちのすべてを出し切り、応援してくれた人たちにパフォーマンスで応え、どのチームよりもウインターカップという舞台を楽しんだ『美しき敗者』として大会を去った。