パワーフォワードのバックアップとして期待
ニックスは開幕から2勝4敗とやや出遅れたものの、その後は調子を上げてプレーオフ圏内を守っている。それでも攻撃のジェイレン・ブランソン、守備のミッチェル・ロビンソンという両輪を担っていた一人、ロビンソンが左足首を痛めて手術することになり、2か月から3か月という長期離脱となった。
先発センターの穴は、ともに25歳のアイザイア・ハーテンシュタインとジェリコ・シムズで埋める。ロビンソンを欠いて最初の試合となったラプターズ戦では、2番手のハーテンシュタインをそのままセカンドユニットに置き、シムズが先発。シムズが21分、ハーテンシュタインが27分とプレータイムを分け合った。続くジャズ戦でも同様で、シムズが先発して18分、ハーテンシュタインが29分プレーしている。
ロビンソンは昨シーズンにも1か月以上の戦線離脱を経験しており、その時にステップアップしたのがハーテンシュタインだ。彼は慣れ親しんだセカンドユニットのほうがリズムをつかみやすい。「先発じゃないことは気にしない。クロージングラインナップには入っていたいけどね。ミッチ(ロビンソン)がいないのは寂しいけど、昨シーズンの半分は僕が試合の最後を任されていた。今回もやれる自信はある。僕にとってはチャンスだから、コーチが何を求めるにしても応えるつもりだ」
ハーテンシュタインとシムズには、チームのピンチを救うステップアップを期待したいところ。しかし、問題はそれで終わらない。そうなるとジュリアス・ランドルが先発するパワーフォワードの2番手が、本来はスモールフォワードのジョシュ・ハートしかいなくなる。
その状況を受けて、ニックスは補強に動いた。チームの雰囲気を知り、実績があってどんな状況にも対応できるベテランのパワーフォワード、タージ・ギブソンだ。ニックスでは2019年から3シーズンに渡りプレー。昨シーズンはウィザーズに在籍し、今シーズンは契約のないままここまで来ていた。
指揮官トム・シボドーにとっては、ブルズ、ティンバーウルブズ、そして2度のニックスと付き合いが長い選手であり、どんな状況でもハードワークを厭わず、プロフェッショナルに徹するスタイルはお気に入り。ロビンソンを含めた若い選手の可能性を潰すことなく、ロスターの穴を埋めるには最適なタレントだ。
開幕からここまで好調だったロビンソンの抜ける穴は大きく、ニックスにとっては彼の復帰まで正念場が長く続くが、窮地を乗り越えるためのタレントは揃っている。