オースティン・リーブス

「正しいプレーをアグレッシブにやることが僕の誇り」

オースティン・リーブスはインシーズン・トーナメント決勝のペイサーズ戦で、ベンチから28分の出場で28得点を挙げた。フィールドゴール15本中9本成功、フリースローは12本を得て10本を決め、アンソニー・デイビスの41に次ぐ得点でオフェンスを引っ張った。

しかし彼はベストコンディションにはほど遠かった。それどころか、欠場を考えたほどだ。試合前夜から悪寒に襲われており、当日もずっと寒気を感じていた。食欲もなく、試合の直前に簡単なスープを飲んだだけで試合に臨んでいた。「ウォームアップもできなかった。必要な栄養が体内になくて、常に息切れしていた感じ。欠場も考えたけど、そんなことをしたら母に首を絞められるよ(笑)。優勝に貢献するチャンスだし、 何より仲間たちをがっかりさせたくなかった」とリーブスは言う。

コートに出れば言い訳は無用。リーブスはいつも以上のパフォーマンスを見せた。ファイナルの雰囲気に感覚は研ぎ澄まされ、コートに入れば自分にできる仕事を全うした。「正しいやり方でプレーしただけで、いつもと変わりなかった。レブロンやディアンジェロ(ラッセル)のような選手と一緒なら簡単だよ。正しいプレーをアグレッシブにやることが僕の誇りなんだ。アグレッシブに攻めて、フリースローラインでリムを狙う。ペイサーズはペイント内のディフェンスが強いわけじゃないから、そこを攻めようと意識した」

記者たちに囲まれて質問に答えるリーブスを、通りがかったレブロンが「フルーゲームと言えばARかMJか、どっちだろうな!」とイジっていく。1997年のNBAファイナル第5戦、マイケル・ジョーダンは食中毒による体調不良でコートに立つのもやっとの状態でありながら38得点を挙げてブルズを勝利に導いた。これがいわゆる『フルーゲーム』だ。レブロンは自分とジョーダンが常に比較されることを皮肉し、そこにリーブスを巻き込む彼らしいユーモアを見せたが、リーブスは苦笑するだけで乗ってこなかった。

今シーズン序盤にリーブスには調子の上がらない時期があり、今は先発を外れている。一方でファンからはレブロンとデイビスという将来の殿堂入り選手に続く『レイカーズ第3の選手』と期待されており、プレッシャーは決して小さくない。ただ、リーブスは「そうは考えていない。『第3の選手』なんて外部で言われているだけのこと。実際は誰にでも当てはまる」と語る。

「今日のキャム(レディッシュ)を見てよ。得点は多くなくてもディフェンスをやってフロアバランスを取り、コート上で最高のプレーヤーの一人だった。このチームで3人目、4人目、5人目が誰かなんて考えは存在しない。みんなただ勝ちたいんだ」