デビン・ブッカー

「厳しい状況に追い込まれても戦い続ける」

サンズはレイカーズに103-106で敗れ、インシーズン・トーナメントから敗退した。勝負の懸かった終盤に審判の不可解なコールに足を引っ張られたのは確か。それでもターンオーバーを連発して相手に主導権を明け渡し、リバウンドで圧倒され、一発勝負では致命的なファウルトラブルに簡単に陥り、そして何よりレブロン・ジェームズの攻めを止められないと、敗因となるべき要素は確実に存在した。

ターンオーバーはレイカーズの9に対しサンズは20。オフェンスリバウンドはレイカーズの21に対してわずか8。その結果、フィールドゴール試投数はサンズの75に対しレイカーズは102もあった。レイカーズはシュート精度が上がらなかったにもかかわらず『質より量』で上回った。

デビン・ブッカーはプレーメーカーとして十分な働きができなかった。適性の問題というよりは、ケガで出遅れたことで今シーズンいまだ12試合にしか出場しておらず、それが連携構築にマイナスに働いている。チームを引っ張ろうという意欲はあり、勝ちたい気持ちは11というリバウンドの数字に表れたが、ターンオーバーが7とかさみ、プレーメークの意識が自ら攻める積極性を削ぎ、得点は21に留まった。

「以前にもこういう状況はあった。僕に言えるのは、厳しい状況に追い込まれても戦い続けるということ。自分たちにコントロールできることをコントロールし、できることをやる。その積み重ねがチームの個性を作り、チームを成長させる」とブッカーは言う。

「どんな状況であってもハードワークを欠かさず、ステップアップしていくんだ。ここまで僕はいくつかの試合を欠場して、ブラッド(ブラッドリー・ビール)とKD(ケビン・デュラント)となかなか揃わない。フルメンバーじゃない時でも勝利をつかむために努力はしているんだ。KDは足首の痛みを抱えながら、それを乗り越えてシュートを決めている。ブラッドは苦しんでいる。僕も同じ立場に立ったことがあるけど、早くコートに立ちたいと焦るものさ。でも彼は辛抱強くコンディションを取り戻そうとしている。僕は彼の復帰を楽しみに待つよ」

しかし、その努力は報いられなかった。インシーズン・トーナメントのベスト8で不可解な判定で負けたことに、指揮官フランク・ボーゲルは怒りを爆発させたが、ブッカーは控えめに不満を表現し、次に進もうとしている。「僕はいつも通り自分の仕事に集中していた。今日みたいな負け方はイラつくけど、どの試合でも同じアプローチで臨むだけだ」

勝利を収めても驕ることなく、不本意な負けを喫しても必要以上に引きずらない。インシーズン・トーナメントは勝っているチームにとっては重要だが、負けた側からすれば気持ちの切り替えは簡単だ。目指す目標はまだまだ先にある。ブッカーは慌てず騒がず、そこへと歩みを進めていく。